第28章 リヴァイの約束
森を抜けると、北に向かって一直線に馬を走らせる。
周りはまだ暗いが、薄っすらと視界がひらけてきているため、もう間もなく日の出だ。
「クレア!!巨人が現れても討伐には入るな!すぐに追いかけるからまっすぐトロスト区へむかえよ!」
「で、でも兵長……」
ガスと刃は十分にあったため、クレアは片方のアンカーだけでも討伐補佐くらいならできると思っていた。
「駄目だ!巨人にはかまわず全速力で走れ、いいな?!」
「は、はい!!」
鋭い眼光で命令されてしまえば、従うしかない。
クレアは手綱を短く持ち直し真っ直ぐに北を見つめた。
トロスト区から1番近い市街地を抜けると、段々と周りが明るくなってくる。
日が昇りきれば巨人が活動を始めてしまう。
しかし、運良く2人は無事にトロスト区の門まで辿り着こうとしていた。
「おおーい!!クレアー!リヴァーイ!」
壁の上を見上げると、駐屯兵と共にハンジとモブリット、エルドがこちらに向かって手を振っているのが目に入った。
「あ!ハンジさん!!」
怪我もなく無事な様子にクレアは思わずホッとしてしまった。
壁内に入り、3人と合流をする。
「クレアー!!無事で本当に良かったぁ!!」
ハンジは思いきりクレアに抱きついた。
「ハンジさん…お話は兵長から聞きました…あの…私なんて言ったらいいのか…」
「そんなの気にしない!!リヴァイの判断のおかげでクレアは無事に帰還できたし、私達も陣形に戻れたからあの後被害も出なかったんだ。」
「で、ですが…」
クレアの顔色は優れなかった。
「リヴァイ兵長!ご無事でなによりです!一晩戻られなかったので、皆兵長の身を案じておりました。」
「あぁ、エルド…突然指揮を任せてすまなかったな。他の奴らは全員無事か?」
「はい!皆無事に帰還しております。」
「そうか…」
班員の無事にリヴァイもホッとしていた。
「となると…」
今度はハンジの方に目をやる。
「今から俺は説教か?クソメガネ…」
すると、ハンジはグッと親指を立ててウインクをしてみせる。
「お!察しがいいねぇ!ご名答だよ!リヴァイと私とモブリットはこれから説教部屋だ。シシシシ!」