第27章 リヴァイの想い
今の状況がよく飲み込めない…
「…………………あ、あの……」
クレアは白い息を吐きながら、必死に記憶を遡って行った。
そう、そうだ…今の自分は安否不明の調査兵であり、森の中で難儀している真っ最中。
身体が冷えて…意識が朦朧としてきて、もう死ぬかもしれないと思った所だった。
リヴァイの幻聴が聞こえてきて、幻影が見えて、いよいよ最後だと思ったのだが…
「クレア…無事…だったんだな。」
少し安堵したリヴァイは自身の上に乗っかっているクレアの頬を優しく撫でる。
その頬は凍るように冷たい。
「あ……ぁ……」
少しずつ自分に起こっている状況を理解し始め、意識がはっきりとしてきた。
頬から感じる手のひらは温かく、リヴァイの後ろにはダスゲニーとデイジー。
おそらく自分は助かったのだ。
「死んだ夢でも見てたのか?お前はまだ死んでねぇよ。まぁ、死んだら俺が許さないけどな。」
そう言い、自身のマントを脱いでクレアにかけてやり包むと、力いっぱい抱きしめた。
「へ、兵長……」
「本当に…無事で良かった……」
「うっ……うぅ……あ、ありがとうございます…」
さらに強く力を入れて抱きしめられると、自然と涙が溢れ出してしまった。
自分が助かったという事に安堵したからという理由もあるが、それだけではない。
「遅くなってすまなかったな…怖かっただろ?」
「!?」
決してリヴァイが悪い訳ではないのにクレアは謝られてしまう。
しかし、リヴァイがこんな風に自分に謝るのは、これで2回目だ。
昨年の初陣の前に襲われた時も、リヴァイは1番にかけつけて、まったく同じ言葉を自分に言ったのをクレアはしっかり覚えていた。
「兵長は……何も…悪くありません……」
いつもは横暴で、神経質で、不機嫌そうな顔をしているのに……
何故、何故誰よりもこんなに優しいのだ。
そんな不器用な優しさに涙が止まるはずがなかった。
「そんな事ねぇよ。少しでも遅かったらお前を死なせる所だったんだ。」