第27章 リヴァイの想い
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「あれは………」
リヴァイの目に飛び込んできたもの……
木の上で、マントの様な物に身を包んで縮こまる小さな人らしき影。
この状況では、あれは紛れもなく、調査兵団のマントを着たクレアであろう。
リヴァイはその木まで走って行くが、なんだか様子がおかしい。
木の下まで辿り着き上を見上げると、間違いなくクレアであったが、膝を抱えたままうつらうつらと頭を揺らしていて、意識がはっきりしていない。
非常に危険な状況だ。
「おいクレア!!起きろ!!」
リヴァイが立体機動を使って木の上に上がろうとしたその時だった。
「……へい…ちょう?」
クレアは、決して今聞こえるはずの無い人物の声にうっすら瞼をあけた。
特に崇めたことなどないが、神というものが、最後の情けに大好きな存在の声を届けてくれたのだろうか…
半分失いかけた意識で声の方を見ようとすると、それは下からだった。
…そうか、このまま私は死という奈落の底に落ちるのか…
それならばと下を見れば予想していた通りの人物の姿。よく見るといつも通りの不機嫌そうな顔だ。
「兵長……会いたかった…です。」
そこまで言うと、そのままクレアはバランスを崩して木から落下してしまった。
──ズルッ──
「おい!!クレア!」
マジかよ!ふざけんなよ!
クレアがいた場所は低く見積もっても15mはありそうな高さにいた。
確実に受け取れる自信などないが、もうなりふり構ってはいられない。
クレアの落下地点を予想すると、両手を伸ばしてその衝撃を待ち構えた。
──ドンッ──
2人はよろけて後ろに倒れ込んだが、大きな怪我はなさそうだった。
クレアは予想していた衝撃と異なることに気づくと、若干目が覚めたのだろうか。戸惑いの表情をリヴァイに見せている。
「……っ。いってーな。最近の奇行種は上から降ってくるのか?勘弁願いたいな。」
「………あ、あの兵長。私は死んだはずでは?ないのですか?」
「あ?何ふざけたこと言ってやがる。」
リヴァイは更に眉間のシワを深くした。