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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第27章 リヴァイの想い



あの巨人は通常種であったが、腕が長く、動きも異様であった。

自分が行方不明になったあと、ハンジ達は無事に討伐は出来たであろうか。

クレアはこれからの自分の事も考えなくてはならないが、ハンジ達の事も気がかりだった。

無事でいてくれるならそれにこしたことはない、しかし自分の安否が分からなくなったことで、何か無茶な事をしていないだろうか……
兵団の迷惑には絶対なりたくなかったクレアはその点も気がかりだった。


そして、今朝方リヴァイと交わした約束を守れそうになくなってしまいそうな事態に、胸がギュッと痛くなる。

この状況で無事に帰還できる可能性は限りなくゼロに近い。

水も食料も皆デイジーに取り付けた荷物の中だ。

今の時点では前にも後ろにも動けない状況であったが、唯一1つだけ、クレアは自分自身で選択できる物を持っていた。


「………………。」


おもむろにジャケットの内ポケットからある物を取り出し見つめる。

これは、エルヴィンと医師から預かっている安楽死用の麻酔薬と注射器であった。

医療道具一式はデイジーに取り付けていたが、この薬品だけは全てにおいて自分が責任を持たなければと、小さな袋に入れ、内ポケットには討伐中に落下しないようボタンを付けて肌見放さず持っていた。


本来ならば手の施しようのなくなった兵士のために使われる薬品だが、最悪の場合は自分自身で使うことになるかもしれないという展開がクレアの頭をよぎった。


内ポケットに麻酔薬をしまうと、木々の隙間から差し込んでいたオレンジ色の光が少しずつ暗くなり、夜の帳が落ち始めている。
それと同時にぐんぐんと気温が低くなる。

夏ではないため、今のところ喉の渇きや空腹を強く感じてはいないが、それも時間の問題だ。

クレアはブルリと身体を震わせながらマントにくるまり小さく縮こまった。

少し動いて自分の現在位置くらい把握しようかとも思ったが、左のアンカーは使えない。
そして無駄にガスを消費する事もできない。となると、何か良い案が浮かぶまではじっとしている方が得策だろうとクレアは座り込み頭を働かせることくらいしかできなかった。

しかし、冷たい空気が鼻の奥をツンと刺激をすればより一層冷え込む自身の身体。




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