第27章 リヴァイの想い
「討伐中に暴れた巨人の長い手にクレアが弾き飛ばされてしまって、森の中まで飛ばされてしまった…安否不明だ…すまないリヴァイ…」
ハンジは悔しそうに歯を食いしばった。
「…クソッ、了解した。お前らは早く陣形に戻れ!日も暮れるしこれ以上陣形に穴をあけるな。クレアは俺がなんとかする!」
「あ、リヴァイ!」
「早く行け!クソメガネ!デイジーは借りてくぞ。」
すると、リヴァイはデイジーの手綱を取ると、ハンジ達に振り返ることなく森に向かって走っていってしまった。
「分隊長…」
「いや、いい。これはリヴァイとの約束だ…モブリット、このまま全速力で陣形に戻るぞ!」
「は、はい!!」
2人は陣形に戻るため、再び馬を走らせた。
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…………なんだか、頭がフラフラする。
いったいどうしたのだろうか……
朧気な意識の中で重いまぶたを持ち上げると、頭上の木に右のアンカーを刺しクレアは宙吊りになっていた。
「……あれ?ここはどこだ?」
周りを見渡すと高い木々が生い茂る森の様だった。
木々の隙間から覗く日はもう大分傾き、濃いオレンジ色になっている。
少しずつ意識が戻ってくると同時に思い出したのは巨人と戦闘した際に弾き飛ばされた自分の姿だった。
確か、とどめを打つ前に異様な動きで暴れられた為、避ける事ができなかった。
自身が飛び上がり、森の中に急降下したあたりまでは記憶があったが、この辺で途切れてしまってる。
アンカーはきっと無意識で射出したのだろう。
この首の皮一枚で繋がった状態に全身がヒヤリとしたが、とりあえずぶら下がったままでは何もできない。
まだ明るいため、上に避難しようと左のアンカーを射出しようとしたが、アンカーは出てこなかった。
あの衝撃で壊れてしまったのだろうか…
クレアは恐る恐る右のワイヤーを巻こうと指を動かすと、なんとか右側はうまく動いてくれた。
無事に木の上まであがると、今度はガスボンベを叩いてみる。十分に入ってる音がしたため漏れは無い
。
取り敢えず、右のアンカーと、ガス、残りの刃でなんとかするしかないが、デイジーはいない。
今は巨人の活動が止まる日没までおとなしくしているしかなさそうだ。