第27章 リヴァイの想い
「……モブリット!紫の信煙弾を3発だ、急げ!!」
「はい!!」
鋭い眼光で殺気立った様なハンジから強い語気で命令をされるが、全てを理解しているモブリットは素早く装填し紫の信煙弾を3回、日が傾き始めた空高くへと撃ち放った。
──バンッ──
──バンッ──
──バンッ──
早く届いてくれ。
クレアを救うため、ハンジとモブリットはもう待つことしかしできなかった。
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時同じくしてリヴァイ班も、エルヴィンの信煙弾に従いながら進んでいた。
しかし、こちらもやはり索敵のとりこぼしや、突如潜んでいた巨人の出現に遭遇すれば討伐もこなし、陣形に穴をあけることなく順調にトロスト区へと向かっていた。
しかしオルオが右翼側に上がった信煙弾にいち早く気づき、馬上からリヴァイに声をかける。
「兵長!右翼側から紫の信煙弾が3発も上がってます!これはいったい……」
「なにっ?!」
リヴァイが右側に目をやると、薄くオレンジになりかけた上空めがけて不気味に上がる3発の紫の信煙弾。
「クソッ…!!」
リヴァイは盛大に舌打ちをすると、次々と班員に命令を下していく。
「ペトラ!!あの信煙弾は俺が行くことになっている。俺が向かったとエルヴィンと全体に伝わるように伝令に行け!」
「兵長、どういうことですか!?団長もご存知ないんですか!?」
「あぁ、そうだ。急げ!!」
「は、はい!!」
「トロスト区帰還までの指揮はエルドだ。任せるぞ!!」
「わ、わかりました!!」
すると、リヴァイは班員とは進行方向を変え、信煙弾の上がった方角向かって最高速度をだした。
「急げダスゲニー!!時間がねぇ!!」
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傾きかけた日のオレンジが少し濃くなってきた頃、遠目から砂煙を上げて物凄いスピードで向かってくる馬がやってきた。
「分隊長!見てください!あれは!」
2人の目の前で馬を急停止させたのはリヴァイだった。
「リヴァイ、思ってたより早くて助かった!!」
「おい、クソメガネ!どういう状況だ。さっさと説明しろ!!」
らしくもなく取り乱した様子を見せたリヴァイは、噛み付くようにハンジに状況の説明を要求した。