第26章 奇行種、飛ぶ
「あ、ハンジさん!モブリットさん!団長の信煙弾上がりましたね!!」
クレアが中央に向かって指をさす。
「よっしゃあ!終わりだ!2人とも急ごう。」
全く巨人と戦闘しなかった訳ではないが、前回に比べるとやはり回数は少なかった様に思える。
体力も気力もまだ十分残っていたため、クレアの身体はまだ軽かった。
「皆揃ったな?総員帰還せよ!!」
エルヴィンの号令で全調査兵はトロスト区へと帰還を始めた。
前方からは次々に信煙弾が上がり、巨人を避けながら馬を走らせているが、ハンジ達は索敵の取りこぼしを討伐しながら順調に進んでいた。
しかし、日も傾きかけ、もうすぐでトロスト区から一番近い市街地に入る直前だった。
「あっ!ハンジさん!右方向から巨人です!」
ハンジが目をやると、右側には巨大樹の森程大きくはないが、中規模程度の森があった。
「チッ、4体か……仕方ない!討伐するよ!」
「「はいっ!!」」
3対4。
数から言えばこちらに分が悪いが今日は前回の拠点設営の時と比べると、戦闘回数はだいぶ少ない。
天候の崩れもない為、ハンジはいけると判断した。
当然、クレアもモブリットも同じ考えであった。
陣形に侵入させまいとブレードを抜き戦闘態勢に入る。
──バシュッ──
──ザシュッ──
クレアは華麗に飛び上がると、2体の巨人の討伐に買って出た。
討伐しながらも視野で2人の様子を確認すると、もう1体近づいてきているのにいち早くクレアは気がついた。
「あっ!!」
しかし、かなりのスピードで向かって来る上に、体型が何だか変だ。
人型をしているが、他の巨人と比べると、腕の長さが異様に長くいびつである。
だが、一目散に自分達に向かってくるということは奇行種では無さそうだ。
「ハ、ハンジさん!!気をつけて下さい!もう一体います!」
「なに?!」
ハンジは今の相手にしている巨人で手一杯だ。
クレアは2体目の巨人にとどめを刺すと、そのままデイジーに着地し、討伐すべく走らせた。
13m級はあるが、いつものクレアならひるまず戦闘に入れる。
しかし一瞬躊躇してしまった。