第26章 奇行種、飛ぶ
この巨人の腕に叩き潰されれば確実に死ぬだろう。
項を削ぐにはまず、この動きを止めなければならない。
有効なのはどこだ?
足か?
腕か?
目か?
前回腕を切り落とした時に暴れた巨人によって、大怪我をしたクレアは一瞬迷ってしまった。
しかし、あの時は疲労困憊だった上に雨も降っていた。
だが今回は天候の崩れもなく、自身の身体もまだ軽い。足でも目でも攻撃をすれば少なからず抵抗はされる。そう考えるとこの腕2本は厄介だ。
1本でも落とさなければ…
そう判断しクレアはこの巨人の腕めがけて思いっきりブレードを振るった。
──ザシュッ──
案の定暴れられたが、うまくかわしとどめの体勢をとり再びブレードを振るったその時だった。
──バシッ──
クレアは想定外の異様な動きで暴れた巨人の片手に弾かれてしまい、放物線を描くように大きく飛び上がってしまった。
「キャアアアアアア!!!」
そしてそのまま森の中央目掛けて、クレアの姿は見えなくなってしまったのだ。
「クレアーー!!!」
それぞれの討伐を終えたハンジとモブリットはまさかの事態に動揺するが、まずはこの目の前の13m級をなんとかしなければならない。
異様な動きで暴れる巨人を苦戦しながらもなんとか2人で討伐をした。
「分隊長!!クレアが森の中に!!どうしましょう!!」
「探しに行きたいが、これ以上陣形に穴はあけられない……」
思い切りはじかれたクレアは怪我で済んでいれば生きてるかもしれないが、あの衝撃で立体機動が壊れていればそのまま落下して転落死だろう。
運良く生きていても馬はない。
「クッ…………。」
絶対絶命のピンチだ……
しかし迷ってる時間も無い。
ハンジは奥歯を噛み締めながらある命令をモブリットに下した。