第26章 奇行種、飛ぶ
リヴァイの両膝に手を置くと、そのまま立ち上がり詰め寄る。
「へ、兵長ばかりずるいです……私の気持ちを言わせておいて、こんな事までして……もう食堂に行けだなんて……へ、兵長、失礼しますよ!」
するとクレアはリヴァイのクラバットに手をかけるとシュルっとほどき、手際よくシャツのボタンを外してしまった。
「おいっ!待てって!」
リヴァイが両手首を掴んで制止すると、クレアは顔を真っ赤に紅潮させながらリヴァイのクラバットを掴んでいる。
目が合うと少し悔しそうに逸らされてしまった。
いつもは、こんな事に積極的になるタイプではなくむしろ奥手な方であるというのに今朝はいったいどうしたのだろうか。
壁外調査前で少し不安に思ってるのだろうか。
それとも久しぶりに触れ合って、火がついてしまったのだろうか。
「はぁ……」
まぁどちらでもいい。
こうなっては無理に拒む訳にもいかない。
リヴァイは諦めて掴んだ手首を開放してやった。
そして腰をグイッと抱きしめて自身に跨がらせると、奇行種クレアの出方を待った。
「俺の、負けだ。せっかくの申し出だからな。どこでも好きな所に付けてみろ。」
するとリヴァイは自分でもう1つボタンを外すと胸元を半分はだけさせて、クレアにさしだよすように両肘をソファの背もたれに乗せた。
「………………。」
さぁ付けてみろ。とばかりにリヴァイはソファに背中を寄っかからせて逞しい胸元をクレアの目の前に晒している。
勢い余って大胆な事をしてしまったが、もう後戻りはできそうにない。それに前々からチャンスがあればやってみたいと思っていたのだ。
それがきっと今なのだろう。
しかし、キスマークを付けられたことはあっても自分では付けるのは初めてだ。
こんな事になるのならフレイアに付け方を聞いておくんだったと少し後悔をするが、今更どうしようもなかった。
クレアはしかたなく、目の前の人物に教えを乞うしかなかった。