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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第24章 いつもと同じで違う夜



きっと、豪雪の中休日でさえも荷物持ちに駆り出される様な過酷な労働環境のせいで、溜まるものが溜まり過ぎてしまったせいだろう。


ハンジへの想いを自覚してからは、余計なことは考えまいと訓練と仕事に没頭してきたが、男である以上ずっと溜めておくことができないものもある。


風紀を乱すような目立った行動をとらなければ、兵士の娼館通いは特に禁じられていない。


しかしモブリットには敬愛するハンジの姿がある以上とても娼館に行くことなどできなかった。
それが例えハンジ本人に勧められてもだ。


そのため、仕方なく、定期的に、できるだけ何も考えないように、淡々とした作業のような自慰でやり過ごしてきたつもりだったが、よくよく考えると最後に自身で抜いた日がいつだったかまったく思い出せない。

最後に女を抱いた日が思い出せないのはもう良しとしていたが、最後に自慰をした日が思い出せないとはもう自分も重症だなとモブリットは少し自虐的に苦笑いを浮かべた。



そんな事を考えていたらあっという間にハンジの自室の前だ。いつもの様に、預けられているスペアのカギを使って扉を開ける。


──カチャ──


中に入れば知らない人間でも間違いなくハンジの部屋だと分かる程に散らかった室内。

机やベッドのサイドテーブルにはこの間自分が苦労してここまで運んできた本が積み上げられている。


いつもはベッドに寝かせたあと、少し片付けをしていってから出ていくのだが、今夜の自分は少し溜まりすぎてしまっている。そんな自覚のあったモブリットは、早々に退散した方が精神衛生上いいはずだと、ハンジをベッドに降ろそうとしたその時だった。





「……ん、モブリッ……ト……」




「…………!!!」




深い寝息をたてながら眠るハンジの唇からこぼれたのは紛れもなく自分の名前であり、その手は彷徨う様にモブリッドの胸を這うと、ジャケットの端を力無く掴んだ。



「(分隊長……勘弁してくださいよ……)」



モブリットの胸の中では、ハンジに対して蓋をしていた想いがグツグツと吹きこぼれる鍋のように沸騰しようとしている。



「(今日の俺はどうかしている……)」



モブリットはすんでの所でこらえハンジをベッドに寝かせると、すぐに外に出てカギをかけた。






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