第23章 奇行種、いざ聖戦へ!
「はぁ…はぁ…はぁ…」
肩で息をしているクレアの身体に放った欲望をタオルで拭きながらリヴァイは声をかけた。
「シャワー浴びてから寝るか?」
半分意識を手放してるのだろう。
クレアはフルフルと左右に首を振った。
もう答える気力も無さそうだ。
リヴァイも既にシャワーは済ませている。このまま寝てしまおうと布団を整えると、自身も横になりクレアを後ろから抱きしめた。
すると、絞り出すような声でクレアがリヴァイに問いかける。
「あの…兵長…今、何時…ですか?」
「今か?11時半をまわったところだ。」
「そうですか…よかった…」
………いったい何がよかったのだ。
リヴァイが疑問に思ったその時だった。
ゴソゴソと寝返りをうってクレアがリヴァイの両頬に手を当てた。
「?!」
「兵長、お誕生日、おめでとうございます。生まれてきてくれて…私と出会ってくれて…。ありがとうございます。」
そこまでいうと、照れくさくなったのかまたすぐに寝返りをうって背中を向けてしまった。
こいつは何を言ってるんだ。
地下街の娼館で、父親の名前も知らずに生まれた俺に…数え切れないほどの人間を殺してきた俺に…そして、数え切れないほどの仲間を救ってこれなかった俺に…
何を言ってくれてるんだ…
──お誕生日おめでとうございます──
たったこれだけの言葉であるというのに、クレアの口から紡がれれば、その言葉はどんな美しい音色を出す楽器よりも、どんなに人々を感嘆させる詩よりも美しい。
仲間や部下からの祝いも嬉しかったが、恋人から祝われる誕生日はこんなにも特別なのかとリヴァイの胸を熱くさせた。
「大層な事言ってくれるなよクレア…また抱きたくなるだろが。」
「そ、そんな。一回だけって約束ですよ……」
クレアは一瞬身構えてしまう。
「冗談だ。クレア、プレゼント嬉しかった。」
そう言って抱きしめる力を強くすれば、クレアの心臓の鼓動は速かった。