第23章 奇行種、いざ聖戦へ!
「兵長!…脱いで下さい!!」
しばしの沈黙の後、クレアから発せられた言葉はすぐには理解し難いものであった。
「おい奇行種…それはいったいどういう事だ?」
しかしクレアはリヴァイの言葉には耳をかさずに棚から大きめのバスタオルを取ると、ベッドに敷きなおも続けた。
「ですから兵長!脱いで下さい!そしてここにうつ伏せに寝てください!」
「おい…だから…」
「早くしないとお湯が冷めちゃいます!」
いつにも無く強気なクレアにリヴァイは少し戸惑ったが、何をするのかくらい教えてもらいたい。
湯が覚めると言ってるが、その熱そうな湯をまさか自分にかける気ではないだろうな。
自分の恋人であるにもかかわらず、こうなってしまうとクレアの行動はまったく予想ができない。
リヴァイは奇行種クレアにお手上げ状態だった。
「わ、私も緊張してるんです。お願いですから言ったとおりにして下さい!」
わなわなと震えながらこちらを見ている。
確かにリヴァイに向かって脱げなど、今まで言ったこともなかった。誕生日の祝いと言っていたし、黙って従うのもまた一興なのだろうか?
「…わかったから落ち着け。服は全部脱ぐのか?」
「い、いえ…上だけで結構です。」
「そうか。わかった。」
リヴァイはシャワーを済ませていたため部屋着であった。少し厚手のシャツを脱ぐと、言われたとおりにベッドのタオルの敷いてある部分にうつ伏せになる。
「これでいいのか?」
「は、はい!少しお待ちください。」
クレアは洗面台までいくと、給湯室から拝借してきて沸かした湯を洗面器に入れて湯加減を確認すると、そこに香油屋夫婦から貰った瓶と、部屋から持ってきたタオルをつけた。
湯は少し熱かったがそれでちょうどいい。タオルをかたく絞ると、クレアはうつ伏せに寝ているリヴァイの背中にかけた。
「兵長失礼しますね…」
そう言われた瞬間、少し熱く感じるタオルがリヴァイの首、肩、背中を覆った。
寒い室内ではこの熱さがちょうど良かった。
それだけではなくじんわりと温まっていく筋肉がとても心地よい。