第23章 奇行種、いざ聖戦へ!
「はぁ……」
リヴァイは仕事も早々に切り上げ自室に戻ってきていた。
「…………」
エルド達に贈り物を貰うまで誕生日の事などすっかり忘れていた。
確か昨年もそうだった。
エルド達に酒を貰って、ハンジ達に飲みに連れ出されるまで誕生日など思い出しもしなかった。
別にそれでいい。
何も問題などない。
しかし、1つだけ誕生日という我儘が許されるのであれば、今夜はクレアをこの腕に抱きしめて眠りたかった。
だが、食堂でもすれ違いだったのか会うことができなかった。自分の誕生日を理由に、ハンジ達と仕事中のクレアをわざわざ連れ出す事も気が引けたため、諦めてリヴァイは部屋に戻りシャワーを済ませてベッドに倒れ込んでいた。
「チッ、もう寝るか…」
もう今日は寝てしまおうかと思ったとき、まさかのこんな時間に扉をノックする音がした。
──コンコン──
心から訪ねてきてほしかった人物がいたリヴァイには、このノックの音が胸を高鳴らせると同時に、全身が期待と緊張で少し強張った。
どうか、どうかクレアであって欲しい……
「あ、あのクレアです……兵長、いらっしゃいますか…?」
扉の向こうでは少し遠慮がちに名乗るクレアの声。
「入れ……」
リヴァイは平静を装い答える。
おずおずと中に入ってきたクレアは何やら大荷物を抱えていた。
「こんな時間にどうした?それにその荷物はなんだ?」
兵服一式に、何かが入った袋に、ヤカン?
ヤカンからは湯気が出ているが、何をするつもりだ?
「あの、兵長、今日はもうお仕事は終わりですか?」
「あぁ…そうだが?」
「あの…せ、僭越ながら…私、兵長のお誕生日のお祝いをさせて頂きたくて参りました!」
「……お前がか?」
まさかの発表に驚きを隠せなかったが、クレアはいったい何をするつもりなのだ。
酒や何か物を贈るのならまだわかるが、今クレアが持っているものではこれから何が始まるのかまったく予想ができない。
訪ねてきてくれたことは嬉しいが、奇行種クレアの前にリヴァイは少し身構えた。
「はい!!」
「で、いったい何が始まるんだ。」
すると、クレアは羽織っていたカーディガンを脱ぎ、腕まくりをすると、とんでもないことを言い放った。