第23章 奇行種、いざ聖戦へ!
「そ、それが、私の用意したの、そういうプレゼントじゃなくて……」
「え?どういうこと?」
「実はね…」
クレアは香油屋夫婦から教えてもらったプレゼントの内容をフレイアに話した。
「ひゃっ!!なにそれー!!ちょっと私が照れくさくなってきちゃったじゃん。」
そう言うとフレイアは顔を真っ赤にさせてジタバタと暴れだした。
「そ、それを言わないでフレイア!私も照れくさくなるから!」
「でも、どうするの?兵長の部屋、行かなくていいの?」
「う……」
確かにせっかくハンジからは特別に休みを貰ったのだ。それに日付が変わってしまっては意味が無い。
リヴァイの忙しさの状況は分からないが、ひとまず執務室に行ってみるしかないだろう。
「…フレイア、とりあえず兵長の執務室に行ってみる…忙しそうにしてたら戻ってくるよ。」
そう言って出ていこうとしたクレアにフレイアはある物を投げつけた。
「クレア!!忘れ物!コレも持っていかなきゃ!」
「え?わっ!わっ!キャッ!」
クレアはフレイアから投げられた兵服やベルトやブーツを左右の手を使って器用に受け取った。
「え?何これ…」
「そのままお泊りになってもいいように、ね!!」
フレイアは意地悪にウインクをしてみせた。
どんなに忙しくったって誕生日のお祝いにきたクレアを部屋に帰す程リヴァイは冷徹では無いだろう。むしろその逆だ。きっと愛しい恋人が自分の誕生日にと訪ねてくればみすみす帰すわけはない。
フレイアはそう踏んでいた。
しかし、それを聞いたクレアの顔は今にも茹で上がってしまいそうなほど赤くなっている。
今からそんなんで本当に大丈夫なのだろうか?
しかし、ここでうだうだしたって仕方ないのだ。
フレイアは背中を押すようにクレアを扉まで追いやると、拳を胸にドンとあて、敬礼で見送った。
クレアは底冷えする廊下を、白い息を吐きながらリヴァイの執務室へ向かった。
長い長い廊下であるのに、あれこれ余計な事を考えてるとすぐに到着してしまうから不思議だ。
──コンコン──
思い切って扉をノックするが、中からの返事は無かった。きっともう自室に戻ったのだろう。
そう判断したクレアはある場所に寄ってからリヴァイの自室へと向かう事にした。