第22章 リヴァイ、悔いなき選択 奇行種、困惑
何か特別になるような時間。
ただ一緒にいるだけではなく、特別な“何か”をするということか。確かに良い案だと思うのだが、肝心の“何か”が今のクレアには思い浮かばなかった。
「確かに、その通りだと思うのですが……」
すると、グレンが腕を組みながら眉を寄せてクレアに問いかけた。
「ところで嬢ちゃん。嬢ちゃんっていったいいくつなんだ?!」
初めて店に来たときも、夏に来たときも、まだ垢抜けない少女の様に見えてたクレアを、グレンは15歳くらいだろうと勝手に思い込んでいた。
しかし今日のクレアはどうだろうか?
仕立てのいい服を着ているせいもあるかもしれないが、雰囲気がなんとなく大人っぽく感じる。
顔は幼いままなのにと、グレンはこの違和感を不思議に思い、聞かずにはいられなかった。
「あの、私はこう見えても18歳なんです。きっと信じられないと思いますが……」
まぁ当然の質問だろう。
クレアは驚かれるのは承知の上で正直に答えた。
「18歳だって?本当かい?こりゃまいったな!!嬢ちゃんなんて呼んじゃ失礼だったな!悪い悪い!」
グレンはやっちまったとばかりに手のひらで額をおおうとガハハと笑いながらクレアの肩を叩いた。
「あら、私もびっくりしたわ。ずいぶん可愛らしいお嬢さんだと思ってたけど、もう立派なレディだったのね。これは失礼したわ。」
「でもそれならいい案があるぞ。ちょっと待ってな。」
そう言うと、グレンは店の奥まで何かを取りに行ってしまった。
「あの…グレンさんどこへ行ったんでしょうか?」
「大丈夫。すぐ戻ってくるから。」
マーサはグレンが何を取りに行ってるのか察しがついたのかニコニコしながらハーブティーを飲んでいる。
程なくして、グレンが何かをもって戻ってきた。
「ほれ、クレア、これを彼氏に使ってやりな。」
渡されたのは、あまり装飾のないシンプルな瓶だった。
キレイな薄いピンクの瓶だが、中身がさっぱり分からない。
「あの、これは……?」
「これはね、足の悪いご高齢のお客さんから頼まれて作ったものなの。特に売り物にはしていなかったんだけど……」
ここまでマーサが言ったところでグレンがクレアに耳打ちをした。