第22章 リヴァイ、悔いなき選択 奇行種、困惑
「だからこれを────で────だ。」
クレアの顔がボンと赤くなる。
「え?えー!?それを私がやるんですか?」
「なんだよ、彼氏だろ?階級が上ならきっと毎日疲れてるはずだ。何か物をプレゼントするよりよっぽど喜ぶと思うぜ。」
……確かに、グレンのアドバイスには一理あった。
しかしそんな事、本当に自分ができるのであろうか?
「クレア、コツがあるから教えてあげるわ。」
マーサは紙とペンを出すと、講義のような、レッスンのようなものが始まった。
せっかくのリヴァイの誕生日、失敗をする訳にはいかないと必死に食らいつくようにクレアはマーサの話を聞いた。
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「すっかり遅くなっちゃった…」
香油屋では思っていた以上に時間を使ってしまい、兵舎に向かう頃にはすっかり日も暮れていた。
クレアは白い息をはきながら走っていると、兵門に何やら人影を感じる。
「??」
そこにいたのは腕を組みながら眉間にシワを寄せているリヴァイであった。
「リヴァイ兵長?!どうしてここに?」
「あぁ?!なかなか戻ってくる様子がないから探しに行こうと思ってた所だこの奇行種。」
ぶっきらぼうに頬をつままれると、その指先は凍るように冷たかった。
リヴァイはいったい何時からここにいたのだろうか?
「す、すみません…こんなに冷たくなるまで…香油屋のご夫婦とお茶をしていたら時間が過ぎてしまいました…」
クレアは手袋をしている手でリヴァイの手を思わず包んだ。
「はぁ…無事に帰ってきたならもういい。買いたい物は買えたのか?」
「は、はい……買えました。」
じっくりとマーサのレッスンも受けたのだ。
誕生日にむけての準備はおそらく大丈夫だろう。
「そうか、よかったな。ならその荷物を置いたら俺の自室まで来い。」
「え?!」
「こんな所で恋人を心配させて、お前は申し訳なく思わないのか?」
「う……申し訳なく思っております。」
この流れって…この流れって、もしかしなくても…
「着替えと、フレイアへの置き手紙も忘れるなよ、今夜は戻らないってな。」
リヴァイはしたり顔だ。
クレアは顔を真っ赤にさせると暑いんだか寒いんだかよく分からなくなりながら部屋まで戻っていった。