第22章 リヴァイ、悔いなき選択 奇行種、困惑
クレアはソファに腰掛けて待つこと数分、リヴァイは大きな紙袋を2つ持って戻ってきた。
「兵長…これは?」
「開けてみろ。」
リヴァイは、クレアの淹れた紅茶を手にソファまで来ると、隣にかけ脚を組んだ。
「あっ!!!これは。」
中身は冬用の洋服とコートだった。
「お前は兵舎にいることが多いが、あの一着だけではさすがに足りないだろうと思って適当に注文をしておいた。同じ店で注文したからサイズは大丈夫なはずだ。」
1枚1枚広げて見ると、普段着に着れるシンプルなものから少しよそ行きのものまで入っていた。
どれもクレアの好みに合うものばかりだ。
「兵長、こんなにたくさん…」
「また買ってやるから支給品で貰ったものは全部捨てろ。」
「え?で…でも…」
すると、少し眉間にシワを寄せたリヴァイがクレアの両頬を包んで顔を合わせてきた。
「お前は自分の容姿をどう思ってるか知らないが、まわりの男は大抵お前をヤラシイ目で見てる。そんな女がボロボロの服で外を歩いていたら物乞いと勘違いされて変態男に誘拐されるのがオチだ。」
「そ、そんな…」
確かに、着古した服ではあったが、私が着ると、物乞いに見えてしまうのか?
そこまで言われるとさすがにショックだ…
「治安もそこまでいいとはいえない。1人ででかけても構わないが、心配させないでくれ…」
そういって抱きしめられてしまえば、否定する言葉など出てくる筈もない。
クレアとて毎日厳しい訓練を受けてる兵士だが、一度に複数の男から押さえつけられてしまえば、さすがに逃げることは難しい。
それは自分の過去の経験が1番良く知っている。
「す、すみません、兵長。ありがたく頂戴いたします。」
納得したクレアに安堵したのか、穏やかな表情に戻り、2人は仕事を再開させた。
切りの良いところまで仕事が終わり、リヴァイは出かけてこいとクレア声をかけたのだが……
「ありがとうございます、では失礼いたしま…」
「待て。ここで着替えていけ。」
「え?」
そう言うと、クレアの返事も待たずに窓のカーテンをシャッと閉めてしまった。
朝なのに少し薄暗くなる執務室。
途端にクレアの心臓は騒ぎ出した。