第22章 リヴァイ、悔いなき選択 奇行種、困惑
翌朝、いつもの時間に目を覚ましたクレアは、特別休暇であるがリヴァイの執務を手伝うため兵服に着替えて部屋を出ていった。
昨日はリヴァイの仕事を手伝いながらそれとなく誕生日のプレゼントになりそうなものはないかと探りを入れようと思ったがまさかの展開になってしまい、結局聞けず終いだった。
よくよく考えればうまく聞き出せそうな自信も無い。
しかたなくクレアは、朝の仕事が終わったら今日は一人で街まででかけようと思いながらリヴァイの執務室まで急いだ。
掃除を済ませ、紅茶の準備を始めればいつもの様にリヴァイはやってくる。
「おはようございます、兵長。すぐに紅茶淹れますね。」
「あぁ、すまないな。」
丁寧に淹れられた香り高い紅茶を持っていくと、クレアはリヴァイに外出する旨を話した。
「兵長、今日は朝の仕事が終わったら街まででかけてきてもいいですか?」
「なんだよ、珍しいな、1人か?」
「はい、1人です。」
「何しに行くんだ…」
「えーと、香油が無くなりそうなので、買いに行ってきます。それと日用品を少々…」
香油屋には行く予定があったし、生理用品など、女子特有の買い出しもあったため、嘘はついていない。
しかし、リヴァイは自分が誘われなかった事に少々不服を感じていた。仕事は忙しいが今回は被害が少なかったためそこまで激務ではない。時間を作ろうと思えばできたのだが、きっとクレアは遠慮したのだろう。リヴァイはそう考えた様だ。
クレアの気持ちを尊重し、今日中にあらかたの仕事を片付けてしまうつもりだったが、リヴァイは1つ確認したい事があった。
「…まぁいい。わかった。あまり遅くなるなよ。だけど、1つ確認だ。何を着ていくんだ?まさかこの間みたいな雑巾に使い古した毛布でも被っていくとは言わねぇよな?」
鋭く睨まれるとクレアの身体はビクッと硬直してしまう。
図星であることは容易に想像できた。
「はぁ…ったく、ちょっと待ってろ。」
リヴァイは椅子から立ち上がると、執務室から出ていってしまった。
先日リヴァイから仕立てて貰った服だけではさすがに外を歩くのは寒い。だからといって合わせる上着も無いためクレアは仕方なく持ち合わせの服で出かけるつもりだったのだ。
まさかそんな所を突っ込まれるなど思ってもみなかった。