第22章 リヴァイ、悔いなき選択 奇行種、困惑
2人で風呂の支度をし、大浴場に向かってると、廊下の向かいからずっと会いたかった人物の姿が現れた。
「兵長!!お、お疲れ様です!」
「クレア、無事だったか。怪我は…今回は無いみたいだな。」
リヴァイは少し安堵したような表情をしてるが、両腕には書類を抱えている。
「あ、あの兵長、お風呂が済んだら手伝いに行きます!!」
「いや、いい。被害が少なかったとはいえ疲れただろ。今日は風呂入って飯食ったら寝ろ。…じゃあな。」
そう言うと、リヴァイはクレアの頭をポンポンと撫でながら執務室まで行ってしまった。
行ってしまったリヴァイの後ろ姿を見つめていると、脇腹のあたりをツンツンと突かれてしまう。
「キャッ!」
「もう!私もいるんですけどー!勝手に2人の世界作らないで下さい。」
フレイアに恥ずかしいところを突っ込まれてしまった。
「ご、ごめん!実は、帰還してからまだ顔合わせてなかったの…フレイアは、エルドさんとは会えたの?」
「うん!ちょうど兵舎に戻る時に会えたから、お互いに無事は確認できてるよ。」
「そっか、じゃあお風呂入ったらご飯にしちゃおうか?」
「そうだね!もうクタクタ…今日は早く寝ちゃいたい……」
2人は急いで大浴場へ向かった。
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「はぁ……」
リヴァイは1人、執務室でため息をついていた。
今回の壁外調査の被害は小規模だったとはいえ、クレアの無事が確認できた事にホッと安堵していた。しかし、廊下で会えた時にはフレイアもいたため、なりふり構わず抱きしめたりする事はさすがにできなかった。
──クレアに触れたい──
そう想い始めるとなかなか仕事が手につかなくなり、滞る一方だ。
クレアが足りなくなると、自分はこんな風になってしまうのかと呆れかけたその時だった。
──コンコン──
「あの…クレアです…」
訪ねてきたのはまさかのクレアだった。
「……入れ。」
クレアはおずおずと申し訳なさそうに入ってきた。
「どうした?今日は飯食ったら寝ろって言っただろ?」
嘘だ。今の今まで自分はクレアに会いたくて仕方なかったはずなのに…リヴァイは素直に喜んでやれない自分に少し腹が立った。