第22章 リヴァイ、悔いなき選択 奇行種、困惑
「俺も側にいる。」
首筋に付けた跡に指を指しながら不敵に笑ってみせた。
「そうですね…」
クレアは首元を指でおさえながら照れくさそうに俯く。こうして触れてると、不思議と本当にリヴァイが見守ってくれてる様に感じる。
クレアはキンモクセイの香油に、リヴァイはクレアから貰ったハンカチに、それぞれの願いを託した。
お互いがお互いを想って願をかけていることなど知る由もなく、まもなく壁外調査の時刻を迎えようとしていた。
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ハンジ班は現在、前回拠点を完成させた地点を越えて、新たなルートに入っていた。
いまの所は大きな障害物もなく、ウォールマリア奪還ルートとして使えそうだ。
もうしばらく走ると、次の拠点の候補地になっている旧市街地にぶつかる。
今はそこを目指していた。
エルヴィンの緑の信煙弾に従い馬を走らせていたが、今回も、巨人との戦闘は避けられそうになかった。
「まったく…どっからわいてくるんだかねー。クレア!モブリット!戦闘入るよ!」
「「はい!」」
4体の巨人が向かってくるが、まっすぐ自分たちに向かってきている。ひとまず奇行種はいないようだ。
「デイジー!順番にいくよ!」
クレアが先陣をきり飛び上がると2体の項を削いだ。そして着地スレスレで3体目の膝裏を削いで足を止めればすかさずハンジがとどめを刺す。
「クーーー!!クレアかっこいい!今日もキレッキレッだね!」
「分隊長!壁外調査中です!もう少し落ち着いてください。」
旧市街地に着くと、馬を休憩させ、負傷兵の治療に当たった。今回は運良く重症の負傷兵はいなかった。
補給拠点として使えそうな建物もあり、来年の雪が溶けたら、この場所に新たな拠点を設営することが決まり、帰還命令となった。
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このまま順調にいけば、今回はほとんど犠牲を出さずに帰還ができそうだ。空を見上げても、雲一つない晴天。どうかこのまま何も起こらないで欲しいと思ったその時だった。
「ねぇ、クレア!12月25日、リヴァイの誕生日って知ってた?」
「え?ええええ?!」
クレアはハンジのまさかの発言にバランスを崩し、人馬転する寸前だった。