第21章 奇行種、疾走、驚愕、誘導尋問
訓練の合間や休憩を狙って、リヴァイ班のメンバーからチクチクコソコソとリヴァイとのことを聞かれていたのだ。
班員とはいえさすがにリヴァイには聞けないのだろう。聞きたいことは根掘り葉掘りと、全てクレアに質問攻めであった。
オルオにいたってはクレアに小言を言い出す始末だ。運良くペトラの助け船のお陰でなんとか切り抜ける事ができたが、できることならもう勘弁願いたい。
訓練が終了するなり逃げ出すように兵舎に戻ったが、今度は廊下ですれ違ったミケにフンと鼻で笑われた。
情報の漏洩源はおそらくハンジであろうが、いったいどこまでの人間がどこまでの事を知っているのか……自分の知らない所で自分の情報が広まるというのは何とも言えない恐ろしい気分だった。
そしてとうとうクレアはハンジの執務室の前に到着してしまった。
「はぁ……もう仕方ない…」
クレアはなかば諦めたように扉を開け入っていった。
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ハンジの執務室に到着して数十分。
「アハハハハ!!アハハハハハハ!ヒッヒッー!」
旧舎に響きわたるのは腹を抱えて悶ながら笑い狂うハンジの声。
「ハンジさん…もう勘弁してください…」
クレアはもう半分泣き顔だった。
「アハハハ、だってさ、だってさ、ブフっ!ブハッ!アハハハハ!!」
何か毒キノコでも食べたかのようにハンジの笑い声は止まらない。
テーブルをドンドンと拳で叩いたり、ソファに寝転がりのたうちまわったりと、ひどい有様だ。
「いやー、普通いたしてる時に頭突きとかしないでしょ?!」
「そ、それは不可抗力でした……」
「それに、気持ちよくしないでくださいって、たぶんこの壁内でそんな事言ったのきっとクレア初めてだよ!」
「それは…完全に知識不足でした……」
なんでこんなことまで話さなくてはならないのか、クレアの疲労は更に増していくばかりだが、頭の回転の早いハンジの誘導尋問にはかなうわけもなく、このような結果になってしまった。
「クレア……すまない…」
1人で暴走するハンジを止めることができなかったモブリットから謝罪の言葉をかけられたが、もううまく返事をすることができなかった。