第21章 奇行種、疾走、驚愕、誘導尋問
「アハハハ、ハハハ……はぁ……あぁ…よかった。」
「「!?」」
やっと笑いが尽きたかと思ったら今度は勢いよく抱きしめられた。
「本当によかった……クレアは勿論だけど、リヴァイもね……」
ハンジは付き合いが長いからこそ分かっていた。
今まで自分が女の世話を焼こうとしても聞く耳を持たなかった理由や、副官を置かなかった理由を。
だからこそ、リヴァイ自身がクレアを欲しいと自覚し、求めて、選択をした事がとても嬉しかったのだ。
「ハンジさん……」
「なんか、勘違いしてるヤツも多いけど、別に調査兵だからって幸せになっちゃいけない事なんてないんだよ。まぁ幸せの形は人それぞれだけど、好きな人と結ばれて幸せを感じるのなら、その命尽きるまで目一杯感じて欲しいと思ってる。だからクレア…本当によかったね!」
「あ、ありがとうございます!」
まさかの言葉にクレアの目頭は思わす熱くなってしまう。
モブリットは少し切なそうに目をそらした。
「だーかーらー!今日は思っきり抱きしめさせて!!!」
「キャッ!キャーーー!!な、何するんですか?」
「いいじゃん、いいじゃん!破瓜の痛みを乗り越えてリヴァイと結ばれたんだ!これは上官からの褒美の抱擁だ!」
「ちょっ!モブリットさんもいるので生々しい言い方はやめてください!さすがに恥ずかしいです!」
今までの尋問の流れからすると、自分が処女だった事はバレバレなのだが、改めて言われると恥ずかしいことこの上ない。
「アハハハ!ごめんごめん!でも、私はクレアを心から抱擁するために自ら風呂に行って禊を済ませてきたんだ!!もうスメハラとは言わせないよ!!さぁ!来なさい!」
禊?
そういえばフレイアはハンジが大浴場の前で、身を清めるとかなんとか言ってたと言っていた。
まさか自分のためだったとは……
やはりハンジさんには敵わない。
兵長からは呆れられそうだが、やっぱり私はハンジさんが大好きだ。
クレアは両手を広げて待っていたハンジに思いっきり抱きついた。
「ハンジさん!大好きです!」
「よしよし、でもそれは今度はリヴァイに言ってあげなね。じゃないと私、削がれるから。」
「……そうですね。」
3人で苦笑いをすると、今夜も忙しく精製作業がはじまっていった。