第21章 奇行種、疾走、驚愕、誘導尋問
「お願い!!頼れるのはフレイアしかいないの!ハンジさんは頼れないことないけど、違うベクトルに暴走されると止められる自信がありません…」
クレアは両手を合わせて懇願した。
「そ、そこまで言われちゃしょうがない!できる範囲で協力するから、とりあえずキスマークは気をつけてね!兵服で隠れない所についてたらみんなの視線集めちゃうからね!」
「う…わかった…」
クレアはフレイアにタオルで背中を隠してもらいながら風呂を出て、自室に戻った。
やっと明日から訓練再開だ。
今日は早目に床につくことにした。
──────────────────
翌朝、目が覚めると雨はやんでいて、窓からは太陽の日の光が射し込もうとしていた。
久しぶりの訓練に胸を踊らせて支度をすると、向かったのはリヴァイの執務室。
副官代理としての仕事は終わってしまったので、今日からは仕事を手伝うのは、また朝のわずかな時間のみだ。
掃除をし紅茶の準備をしていると、いつもの時間にリヴァイはやってきた。
「あ、兵長!おはようございます。すぐに紅茶を淹れますのでお待ちください。」
「あぁ、頼む。」
リヴァイはいつもの通りに返事をしたが、今朝のクレアはいつもより機嫌がいい。
きっと、やっと訓練再開の許可が出て嬉しいのだろう。そんな理由もちゃんとわかっていたが、素直に一緒に喜んでやれる余裕が今のリヴァイにはなかった。
クレアが紅茶を持ってきて、ソファの方まで行ってしまう。リヴァイは急いで手元の書類に目を通すと、いつもの様にクレアの隣に座った。
少しだけ照れくさそうにしたが、仕事の手を止める様子は見られない。
リヴァイはモヤモヤと苛立っていた。
「おい、クレア。今日から訓練再開だな……」
「はい!先生からは慣らし訓練からと念を押されましたが…やっと再開できます!」
そう言いながら満面の笑みでリヴァイの方を向くと、何故だが不機嫌そうにクレアを見つめている。
「兵長…?」
何故不機嫌な顔で自分を見ているのか。何かまずいことを言ったかと疑問に思ってると
「そうか……副官代理の仕事が終わってしまったのを名残惜しくなってたのは俺だけだったみてぇだな。」
リヴァイは少しバツが悪そうに呟いた。