第21章 奇行種、疾走、驚愕、誘導尋問
「………………」
付けられた記憶?
まったく身に覚えが無い訳ではなかった。
今朝方、目覚めにいたした情事では、最後の方で何度も背中にキスをされていたのを思い出した。
まさかあの時に……
途端に顔が真っ赤になる。
「何か心当たりがあるのね?」
クレアの表情を見れば一目瞭然だ。
「あ、ある……かも。でもなんで兵長はこんな事したの?」
「はぁぁぁぁ?!ちょっ、いきなり何言い出すのよ!そんな事、私に聞かないでよ!」
「ご、ごめん!」
フレイアがさっき教えてくれた事を必死に思い出す。
これは…唇で付ける跡で、愛撫の1つで…独占欲の証…
もっと言ってしまえば…慕情の証…だろう
信じられないが、本当にそんなつもりでリヴァイはつけたのだろうか……心臓がドキドキと高鳴って今にものぼせてしまいそうだ。
「ねぇ、フレイア。これ付けるのって……その…そ、そういうことをする時だけなの?」
「え?えっと…そうとも限らないけど、まぁほぼそうだと思う。」
「……ってことは、今の私って……」
「まぁ…そこまで大っぴらにさらしてたら「してきました」って言ってるようなもんだよね!」
「嘘でしょう!!!死ぬ程恥ずかしい…」
クレアは両手で顔を覆うと、ブクブクと顔を湯につけてしまった。
「兵長もそれだけ派手に付けといて教えてくれないなんて、人が悪いと言うか…ドSっぷり半端ないねー。クレア苦労しそう。」
とは言ったものの、クレアもそうとうな鈍感女だ。
リヴァイの言葉を借りるのならそうとうな奇行種だ。
苦労するのはリヴァイも同じかと思うと、フレイアはどちらに対しても、特に気の毒には感じなかった。
一方クレアはここでやっと理解した。
リヴァイの部屋を出ていく時にシャワーを進められたことと、断ったときのあの悪い笑みの理由を。
こんな手の込んだ意地悪をしてくれるなんてと怒りも込み上げたが、この背中に付いてる赤い跡に込められた想いを考えると、胸をキュンと締め付けられてしまい、怒り狂う事はできなかった。
まんまとリヴァイにはしてやられてしまった。
「フレイア、兵長が手強すぎてなんかこの先色々と心配になってきた…今日みたいなことがあったらまた色々と教えてください、先輩!」
「え?ええ?」