第21章 奇行種、疾走、驚愕、誘導尋問
フレイアは途方に暮れながら思い悩む。
まずこのトンチンカンに何から説明したらいいのかと…
「とりあえず、医務室にはいかなくて大丈夫だから早く身体を洗っちゃって!説明は後でするから!とにかくまわりの視線が痛い!」
周りの視線などまったく気にとめていなかったクレアは、何が何やらまったくわからなかったが、フレイアの言う通りに手早く身体を洗い、浴槽に浸かった。
「クレア、こっちこっち。」
フレイアはクレアの手を引くと浴槽の隅まで連れていき背中が見えないようにして座らせた。
「ねぇ、いったいどうしたの?わけ分かんないよ…」
本気で不安な顔でフレイアを見つめるが、彼女は深いため息をつきながら話し始めた。
「クレア……昨日は兵長の部屋で一晩泊まったって言ってたけど……その、兵長としたんでしょ?」
「えぇ!?」
いきなり核心をつく質問に目を泳がせてしまうが、ここで嘘をついてもしょうがない。クレアはフレイアの耳元でコソッと返事をした。
「そ、そうだけど…」
「背中のはキスマークだよ。そんなについてるなら髪の毛とかタオルとかで隠さないと、さすがにジロジロ見られちゃうよ。」
フレイアは友人のためを想い親切に教えてやったと言うのに当の本人ときたらポカンと口をあけて自分を見つめている。
「ねぇフレイア、キスマークっていったい何?隠さないといけないの?てかなんで私の背中についてるの?ちょっと頭が混乱してきた……」
いやいや、頭が混乱するのはこっちの方だ。フレイアはつかさず心の中で突っ込んだ。
今の様子から察するに「したんでしょ?」の質問の意味はちゃんと理解しているだろう。
それにリヴァイだって大人の男だ。あそこまで派手に付けておいて何もしなかったという事はないだろう。
なんでこんな事を私の口から教えなくてはならないのだと、フレイアは再びため息をつくと、重い口を開いた。
「クレア、あのね、キスマークっていうのは…まぁ簡単に言えば唇で付ける跡とか、セックスの時の愛撫の延長とか、もしくは独占欲の証だったりとか…とにかくそういうもんなの。つけられた記憶はないの?」
なんだか真面目に説明しているこっちが恥ずかしくなってくる…
ここまで説明すれば理解できるだろうか。
フレイアはクレアの表情を伺った。