第21章 奇行種、疾走、驚愕、誘導尋問
「昨日ハンジさんと大浴場の前で会って、クレアは今夜は戻らないよーって言いながらお風呂に入って行っちゃったんだけど、ハンジさんと徹夜してたの?それに、その服はいったいいつ買ったの?」
フレイアの疑問ももっともだ。
ハンジと徹夜をしていたのかと思ったクレアが、この天候の中きちんとした身なりで戻ってきたのだ。
昨夜から今にかけて何があったのか聞かずにはいられなかった。しかし返ってきた返事はフレイアの求めていたものではなかった。
「え?!何それ?ハンジさんが大浴場っていったいどういう事?ナナバさんとかと一緒だったの?まさか1人な訳ないよね?!」
リヴァイがクレアの仕事を休む許可を取りに行ったため、ハンジは昨夜の不在を知る人物ではある。
兵舎内でフレイアに会ったのなら当然自分の事を話すだろうとは思っていたがあの風呂嫌いのハンジが何故大浴場の前にいたのだ。
クレアはフレイアの質問に質問で返してしまい、お互いの疑問は深まるばかりだった。
「えっ?えっと、クレアちょっと落ち着いて。確かに私も1人でお風呂に入っていくハンジさんには驚いたよ。なんか身を清めるとかなんとか言いながら上機嫌で入っていった……私はちょうど上がった所だったからそのまま部屋に戻っちゃったんだけど…」
身を清める?いったいなんの事だ。
さっぱり意味がわからない…
「ご、ごめんフレイア。昨日は実はね…夕方から兵長と出かけてたの…」
「え?!」
クレアは照れながらも昨日の事を順をおってフレイアに説明していった。
服がなくて新調してもらったことや、レストランに行ったこと、帰りに雨に降られたこと、一晩リヴァイの自室にいたこと
そして、想いが叶ったこと、全てをフレイアに話した。
どんな反応をするだろうか…
ドキドキしながらフレイアをみあげると満面の笑みでクレアに抱きついてきた。
「すごい!!よかったね!!てかやっぱり兵長もクレアのこと好きだったじゃん!あー、やっとくっついたよー。もう本当に焦れったかったんだからね!」
そう言ってクレアの頬をギュッとつまんだ。
「アハハ…そ、そうだよね。」
言いたい放題言われてしまってるが、まるで自分のことの様に喜んでくれているフレイアの姿をみると、なんだか胸が熱くなるのを止められなかった。