第21章 奇行種、疾走、驚愕、誘導尋問
「ありがとうございます。そうさせて頂けると…助かります。」
リヴァイは昼食後から置きっぱなしだった食器をもって部屋を出ていくと、すぐに夕食を持って戻ってきた。
ゆっくり食事を済ませればまもなく小一時間がたとうとしている。
「兵長、私そろそろ戻ります。さすがに……もう大丈夫ですよね?」
人様の情事にかかる時間など分かるわけないが、さすがに大丈夫だろう。
「エルドの溜まり具合にもよるけどな、まぁ大丈夫なんじゃねぇか?」
クレアは苦笑いをしながら食器をまとめると、部屋を出ようと準備を始めた。
「食器は部屋に戻るついでに片付けておきますね。」
「おい、ここで風呂済ませていくならいいぞ?」
「あ…できればそうしたいのですが…着替えとかもないので、一旦戻ります。」
「風呂にはフレイアと行くのか?」
「そ、そうですね。もし部屋に戻れるならお風呂に誘ってみようと思ってます。」
「そうか。わかった。」
「??」
なんだかリヴァイの口元からは悪い笑みがこぼれているように見えるが気のせいだろうか?
「フレイアの顔見てもいつも通りに話せよ。じゃないとお互いに気まずくなるからな。あと、まだ部屋に入れない様ならまたここに来い。いいな?」
「は、はい…ありがとうございます。」
確かにリヴァイの言うとおりだ。
挙動不審になって自分が聞いていたなんて事を悟られたらいくら友人とて気まずくなること間違いなしだ。
クレアは自分の頬を軽く両手で叩くと、リヴァイに礼を言い部屋を出ていった。
食堂に寄り、食器を片付けてから自室に戻ると、扉の前で一旦停止し、行儀が悪いのは承知の上だが扉の向こう側に聞き耳を立てた。
何か物音はするが、先程の様な声は聞こえずエルドの声も聞こえない。
今はフレイア1人なのだろうか。
そっとドアノブに手をかけると、カギはかかってなかったため、声をかけながらドアをあけた。
「フレイア、いる?」
「あっ、クレア!!!やっと戻ってきた!」
フレイアは笑顔で駆け寄ってきた。先程の色っぽい声の主だなんて到底思えないほどの眩しい笑顔だった。この様子だと自分が戻って来るのを待ってくれていたのだろうか?
ひとまず普通に接する事か出来そうな自分に安堵するが、さて昨夜の事をどう説明しようか…
まさにそう思った時だった。