第21章 奇行種、疾走、驚愕、誘導尋問
「はぁ、はぁ、はぁ、」
やっとの思いでリヴァイの自室までたどり着くと、クレアは息を上げながらノックをした。
──コンコン──
「あ、あの、すみません。クレアです。」
──カチャ──
「クレア?いったいどうしたんだ?」
リヴァイはドアを開けると、息を上げてるクレアを不思議に思いながらもとりあえず部屋の中に入れてやった。
ソファに座らせてやるがなんだか気不味そうにリヴァイを見ようとしない。
「おい、部屋に戻ったんじゃなかったのか?」
「あ、えーと、部屋には戻ったんですけど…」
「なんだよ?カギがかかってた上に失くしたのか?」
「いいえ…カギはあります…」
「あぁ?フレイアに昨日戻らなかった事怒られてケンカでもしたのか?」
「違います……」
「じゃあどうしたんだよ?」
……こんな事、なんて言えばいいのだ。
今しがた自分もしてきた事ではないかと言われてしまえば返す言葉もないのだが、自分以外の人がしている最中などに遭遇してしまえば誰だって動揺くらいするだろう。しかし、そんなのリヴァイに何て言えばよいのだ。
「どうしたんだって…兵長…お願いです…私が部屋に入れなかった事情、察して下さい!」
「はぁ?!」
クレアは両手で顔を隠すとそのまま縮こまってしまった。
リヴァイは冷静に考えてみる。
コイツは部屋に入れない事情と言った。
カギなど物理的な問題ではない。
それにケンカをしたなら正直に泣きついてくるだろう。
コイツが言いたがらない事情となると……
「おい、まさか部屋にはエルドもいたんだな?」
クレアの肩が、ピクリと動く。
「まさか、やってる最中だったのか?」
リヴァイの推理は見事にビンゴだったのだろう。
顔を覆ったままコクコクと頷いている。
「ハッ、そりゃさぞ驚いただろうな。」
「驚いたなんてもんじゃありません……心臓止まるかと思いました……私はどうしたらいいんでしょうか?」
ムクリと身体を起こすと、今度は頭をボリボリと掻きむしりだした。よっぽど衝撃的だったのだろう。
「そんなの、終わるまでは戻れないだろう。お前が聞いた時点で序盤だったのか終盤だったのかわからねぇから何とも言えないが…」
「そうですよね…」
「まぁいい、ここで飯食ってけ。その頃にはさすがに終わるだろ。」