第20章 愛しい奇行種
「…………!」
仰向けで枕を抱えたままクレアは凍りつく。
この声は見なくてもわかる…リヴァイだ。
そして今自分はどういう状況だ…
素っ裸で仰向けになり、ジタバタともがいていた。
くるまっていた毛布はとっくにはだけている。
「兵長…ノックくらいしてください…」
「あ?ここは俺の自室だ。ノックする必要はねぇだろ。」
「う……」
顔を隠したまま絞り出すように言うが、この状況ではリヴァイの言っていることの方が正しい。だがこの状況をもうこれ以上掘り下げて欲しくはない。クレアはか細い声で懇願をした。
「兵長…干してある下着を取って下さいませんか…?」
リヴァイは食事のトレーをテーブルに置くと、ハンガーにかけていた下着を取ってベッドに腰掛けた。横には裸で顔を隠したクレアが横になっている。
「ほら奇行種、持ってきてやったぞ。ワンピースはまだ少し湿ってるからもう少し待て。」
するとおずおずと顔を出し、手を伸ばしたが、意地悪なリヴァイによって、その下着はヒョイっと届かない所まで離されてしまった。
「俺がいない間に何をしていたのか教えたら返してやる。」
「そ、そんなぁ!」
「どうしたんだ?早く言え。俺は腹が減っている。」
ヒラヒラと目の前に下着を持ってこられても取り上げようとすれば届かないようにされてしまう。
「うぅ……」
クレアは観念するしかなかった。
「……昨日と、今朝の事を改めて思い返していたら、ドキドキしてしまって……すこし、高揚してしまったんだと思います……ジタバタとするのを、止められませんでした…」
こんな辱め、なんの拷問だ。
きっとリヴァイは呆れているだろうと思い顔を覗き込むが、意外にもそうではなかった。
「なんだよ……そんなこと言われたらまたヤリたくなるだろ。でもまずは飯だ。昨日の夜から食ってねぇからさすがに腹減ったぞ。」
クレアの返答に満足したのか、リヴァイは下着を素直にクレアに渡してやった。
「あ、ありがとうございます!」
下着をつけ、昨夜かりたシャツを着ると、クレアはテーブルに置かれた食事に目をやった。
「確かに昨日の夜から食べてませんね、私もお腹減りました。わざわざ食堂までありがとうございます。」
クレアは椅子に腰掛けた。