第20章 愛しい奇行種
「まぁまぁ、雨降って地固まるともいうじゃん?ことにリヴァイもクレアも見てて焦れったくてさ〜。一度びしょ濡れになれば2人の関係も固まるかと思ったのさ〜。」
「…………。」
「そう考えると、悪い天気ではなかったでしょ?」
ハンジはリヴァイの顔を覗きこみウインクをしてみせた。まさにドヤ顔全開だ。
……まぁ確かに、あの時雨も降らずに公園のベンチで空を見上げていただけならどうなっていただろうか。
きっとエルド達の教えに従って穏便に次の誘いをするに留まっていただろう。
そう考えると、あの急な嵐はお互いの気持ちをさらけ出すのに一役買ってくれたと言っても過言ではない。
しかし、そんな事を素直にハンジに言ったら最後、ますます調子に乗ること間違いなしだ。
「どうだかな…」
リヴァイは釣れない態度で受け流すと、部屋に向かおうとするが、そんなのはお構いなしとばかりにハンジは質問をぶつけてきた。
「ねぇ、ねぇ、ねぇ!!クレアはどうだったの?ってかリヴァイのはちゃんと機能してくれたわけ?それとさ…今度新薬の実験に………だーーーーー!痛い痛い!いってぇーー!」
先程と同じ部位を踏みにじられハンジはまたもや断末魔の声を上げた。
「余計な世話だ、クソメガネ!!まぁ一つだけ教えてやらねぇこともないがな。」
「なになに?!聞きたい聞きたい!!」
知識欲旺盛?なハンジは両手を組んで目をキラキラさせながらリヴァイを見つめた。
「アイツはまじで…正真正銘奇行種だ…」
「は?!」
「あとは、アイツに直接聞け。もうついてくんなよ。あー、あとモブリット。ハゲる前に異動願い出すなら出しとけよ。ハゲてからじゃ手遅れになるからな。」
「リヴァイ兵長……」
そう言うと、リヴァイは2人に背中をむけて自室まで戻って行った。
モブリットが横を見れば、昨夜散々徹夜をしたにもかかわらず、ハンジは拳を握りしめ明日クレアに聞く尋問リストを作るぞとか何とかと、目をギラギラさせながらブツブツと言っているではないか。
さすがのモブリットも休日返上に2日連続で徹夜に付き合うのは勘弁願いたい。
子供の様にジタバタと抵抗するが、まずはこの人に寝てもらわなければならない。
モブリットは慣れた手付きでハンジを引きずると、部屋まで連れて行った。