第19章 大雨と雷鳴とハンジ班の奇行種
──ザァァァァァァァァァァ──
一通り部屋を片付けシーツを替えると、リヴァイはベッドに腰掛けクレアが出てくるのを待った。外は相変わらず雷鳴が轟き、静まる様子はなさそうだ。
今まで女を抱いた経験は人並みにはあったつもりではいたが、こんなにも番狂わせだらけの情事をしたのは初めてで、リヴァイはシャワー音と雷鳴を聞きながら、軽く途方に暮れていた。
……下着に手を入れた時は完全に思考が止まったぞ。
まぁ、悪くなかったけどな。
……やってる最中に頭突きをするヤツなんているかよ…
まだ若干痛ぇよ。あんな馬鹿力を出すのは訓練の時だけにしてくれ。
……いきなりメソメソ泣くヤツがいるかよ……
お前に言うつもりはねぇが、一瞬萎えたぞ。
……気持ちよくならない様にしてくれなんて頼むヤツがいるかよ…
そんな事言った女はお前が初めてだ。
改めて一つ一つ思い出せば可笑しな事この上なく、リヴァイは口角をあげクククッと笑いが込み上げてしまった。
どうやらハンジ班の奇行種はベッドの中でも奇行種だったようだ。
自分はとんでもないヤツを好きになってしまったかもしれないと思ったが、そんなのは今更だ。
なにせ、クレアの奇行種っぷりは初めて見た時から健在だったのだから。
これから自分は、奇行種クレアからどんだけ振り回されるのかと考えると、少々不安もよぎったが、愛しいクレアであるならそれも悪くない。
リヴァイはそのままバタンとベッドに仰向けになると、天井を見つめたままクレアが出てくるのを待った。
──カチャ──
シャワーの音が止まり、しばらくするとクレアがシャワー室からゆっくり出てきて、リヴァイの方を見ている。
そのまま身体を起こして座り直すが、なかなかこちらに来ようとしないクレアに焦れたリヴァイは声をかけた。
「なんだよ。こっちに来いよ。」
その言葉を聞き、おずおずとリヴァイの前に立ったが、目を合わせようとしない。
目元を見ると赤く腫れているように見えた。
シーツを汚したことを気にして、シャワー室で1人泣いていたのだろうか。