第19章 大雨と雷鳴とハンジ班の奇行種
処女の女を抱くのは初めてだった為、痛みが残るものなのかと少し戸惑ったが、無理をさせたのは紛れもない自分なのだ。
「悪い…無理をさせちまったな。シャワー室まで運んでやる。」
すると、リヴァイは持っていたバスタオルでクレアをくるむと、横抱きに持ち上げた。
リヴァイの好意に甘えてされるがまま抱き上げられると、ふと、とんでもないものが目に入り、猛烈な羞恥心がクレアを襲った。
「兵長…!ご、ごめんなさい!!」
クレアはリヴァイの首元に思いっきりしがみつくと、震えるような声で謝罪をした。
「なんだよ、いったいどうしたって言うんだ。」
「うっ……うぅ……」
わけが分からぬままクレアはまた泣き出してしまった。これで泣かれるのは2回目だ。
「クレア、泣いててもわからねぇ…なんで泣いてるのか言ってくれ。」
クレアはリヴァイの胸元に顔を押し付けながらボソボソと話し出す。
「私…ベッドのシーツ…汚しちゃいました…こんなことって…兵長キレイ好きなのに…」
リヴァイがベッドに目をやると、確かにシーツには暗がりでも分かる程、愛液に混じった鮮血が拡がっていた。
そんなことかと、ため息を漏らすとリヴァイはポロポロと流れる涙を唇でぬぐってやる。
「初めてだったなら仕方ないだろう。俺は何も気にしてないから安心しろ。替えのシーツもちゃんとある。」
リヴァイの言葉に涙は止まったが、表情は曇ったままクレアはシャワー室に入っていった。
程なくしてシャワーの音が聞こえてくる。
その間にリヴァイは床に放り投げた自身の服を絞ると、洗濯カゴに放り込む。クレアの服や下着は、傷まぬように軽く絞りハンガーにかけると部屋干しにした。明日中には乾くだろう。
そして汚れたシーツを剥がすと、思わず鮮血で汚れた部分を手に取ってしまう。
これだけの血を流すほどの傷を愛しい相手につけてしまったのだ。あの苦痛に歪む表情を思い出すと、柄にもなくリヴァイの胸はチクリと痛んだ。
それと同時にこれだけの痛みを全て受け止めてくれたクレアに対する愛しさもまた、溢れて止まることはなかった。