第19章 大雨と雷鳴とハンジ班の奇行種
タオルごしから感じるクレアの指先の感触は、とても繊細で柔らかく、気持ちいいものであったが、リヴァイだって男だ。
リラクゼーションの様な「気持ちいい」だけでは己の中に潜む欲望を解消できるはずなどなかった。
優しい心地のクレアの手を、なんとか欲望を抑えつつ堪能していたが、背中に手をまわされたところで、ギリギリ保っていた理性は、脆くも崩れ去ってしまった。
「助かった、もう大丈夫だ…」
そう言うと、リヴァイもクレアの背中に腕をまわして抱き合うように深いキスをした。
「…んん!」
冷静に振る舞っているように見えたリヴァイであったが、触れ合った胸から感じてきたのは自分の鼓動と同じくらいの速度で脈打つ心臓の音だった。
リヴァイも自分と同じように胸が高鳴っているのを感じるとクレアは少し嬉しくなった。
「ずっとこうしたいと思ってた…悪いがこのままやめてやれそうにはない。……嫌だったら、今のうちに逃げてくれ。」
深いキスに少し息を上げているクレアに、リヴァイは最後の選択肢を与えてやった。
本当は無理矢理にでも抱きたかったが、せっかく想いを繋げることができたのだ。クレアは以前に男兵士から襲われた過去があった事を考えると、リヴァイは一旦冷静に戻らざるを得なかった。
「……兵長、ずるいです。逃げられないのわかってて…」
「じゃあ、いいんだな…?もう途中でやめてはやれないぞ……」
「……はい。初めてなので、少し怖いですが…大丈夫です。」
改めてクレアの許しがでれば、もう遠慮することなど無い。リヴァイは心の底から溢れ出す欲望に抗うのをやめると、きつく抱きしめながらクレアの首元に舌を這わせ愛撫を始めた。
首元から香ってくるキンモクセイの香りはより一層リヴァイの情欲を駆り立てる。
「あ…あぁん……」
甘美な声が漏れるのを確認すると、濡れてしまった下着のホックを器用に外し、剥ぎ取った。
子供のような胸元を見られるのが恥ずかしくてクレアは思わず両手で隠してしまうが、すぐにリヴァイによって両手はベッドに押し付けられてしまう。
「ここには俺しかいないんだ、全部見せろよ……」
手で隠すなど、リヴァイの前では無駄な抵抗でしかなかった様だ。