第19章 大雨と雷鳴とハンジ班の奇行種
掴まれた腕にギュッと力が込められているのに気づくと、リヴァイは一旦唇を離す。
何か言いたげな、そして不安げな表情をしているが、それだけでは奇行種クレアの考えてる事などわからない。
「俺の言ってる意味がわからねぇなら…分かるまで教えてやる……」
そう言うと、リヴァイは再び深く口付けた。
初めて触れるクレアの唇は、触れれば触れるほどに愛しさが込み上げ、中々離してやれる気になどなれなかった。
壁外調査前に無理矢理されたキスとは大違いだ。
何度も角度を変えながら、クレアの口内に舌を侵入させるが、当の本人は戸惑っているのか、中々積極的になってはくれない。しかし、足元がおぼつかないのか、クレアはリヴァイにもたれかかる様に腕にしがみついている。
完全に拒否をしている訳ではなさそうだ。
名残惜しくも唇を離すと、クレアが口を開いた。
「あ、あの、兵長は……キス……したいと思うくらい、私が好きって事ですか?」
よくよく頭の中で復唱すると、上から目線のなんとも失礼な質問であったが、こんな混乱状態では言葉を選んでいる余裕などなかった。
クレアは自分の想っている好きと、リヴァイの想っているソレにズレがないのかどうしても確かめたかった。
この質問から察するに、こじらせ鈍感女クレアにも、ようやく自分の気持ちが伝わったかと思われる。リヴァイは心の中で軽く安堵のため息をついた。
「あぁ、そうだ。だったらお前はどうなんだ…ここから逃げて行くか…?」
したいのはキスだけではない…そんな願望が喉元まででかかったが、今はコイツの気持ちを聞かなくては。
リヴァイはクレアが喋り出すのを待った。
キス……
キスといえば恋人同士や夫婦の契を交わした者がする行為である。そんな基本的なことくらいクレアは知っている。
だからこそ、信じられなかった。
リヴァイが自身と同じ気持ちでいてくれていただなんて。
それなら自分もちゃんと伝えなければ…リヴァイが自分に伝えてくれたように…正直に。
「逃げたりなどしません……私も、兵長のこと、好きです……から……」
「!!!」
求めていた返事を聞けて胸が高鳴ったリヴァイであったが、リヴァイもクレアと同様に確認しておきたいことがあった。