第18章 奇行種、リヴァイとディナー
注文をしながらクレアを見ると、まだクスクスと笑っている。
自分はそんなにおかしな事を言ったのだろうかと考えていたら店員が飲み物は何にするかと聞いてきた。
すると、急に真剣な顔に変わりメニューを見始めたが、クレアが見ているのはアルコールのメニューだった。
「おいクレア、それは酒だ。お前はこっちだろ…」
リヴァイがソフトドリンクのメニューを渡すが、断固として受け取ろうとしない。
「あの…せっかくこんなオシャレなところにこれたんです。私も、この雰囲気に合わせて少し飲みたいです。」
メニューで顔半分を隠しながら、遠慮がちにお願いをしているようだが、その上目遣いは完全に反則だ…
「酒はやめとけ、この間クソメガネの部屋で失敗したばかりだろう。懲りてねぇのか?」
もっともな事を言って納得させようとしたが、理由はそれだけではない。
しらふの状態でもこんなにまわりの視線を集めてしまう程だ。こんな公共の面前で、あの時の様な無邪気な振る舞いをされてしまったら、まわりの男の目も気になるが、自分の理性を保っていられるか自信がない。
「そ、そうでしたよね…」
しかし、リヴァイの言葉を厳しく受け止めてしまったのか、クレアはしょんぼりとしてしまった。
違う……そんな顔をさせたい訳じゃねぇんだよ…
リヴァイは自分の語彙力の無さに盛大に舌打ちをすると、しかたなく店員にある銘柄のシャンパンを1本注文した。
程なくして氷につけられた酒瓶と細身のグラスが運ばれてきた。
「兵長…これは?」
「アルコール度数の低いシャンパンだ。これならお前でも飲めるだろう。」
「いいんですか?ありがとうございます!!」
蒼い瞳を輝かせ、花が咲いたような笑顔を向けられてしまうと、リヴァイはもうその眩しい姿を直視できなくなってしまう。
「言っとくが、飲みすぎるんじゃねぇぞ。」
「はい!わかってます。」
思えばクレアの嬉しそうな笑顔を見たのも実に久しぶりだ。
ニコニコと嬉しそうに飲み始めるクレアを見ると、なんだかリヴァイも心なしか嬉しい気持ちになり、ここ最近の激務の疲れも癒えてくように感じた。
「兵長、このお酒、すごく美味しいです!」
シャンパン自体は辛口であったが、アルコール度数が低いため、クレアでも美味しく感じた様だった。