第17章 奇行種、副官代理
「いらっしゃいませー!あ、リヴァイ様。ご無沙汰しております。」
2人がやってきたのは服屋であった。
店内には男性用、女性用、両方の服が並べられている。店員はリヴァイの事を知っている様だが、いったいここに何の用事だろうか…
「兵長…ここは?」
「ここはセミオーダーできる服屋で、俺も何度か来たことがある。まだ飯には少し早いからな。ここでその雑巾みてぇな服をなんとかしてからでも遅くはないだろ。」
「えぇ?私の服ですか?…というか、雑巾はあんまりです…」
確かに、このみすぼらしい格好ではリヴァイと一緒に歩くのも迷惑であろう。しかし、セミオーダー。自分の財布に入っている金額で足りるだろうか…
「本日はどのような物をお探しでしょうか?」
財布事情が不安なまま、店員が声をかけてきてしまった。クレアはドキドキと冷や汗が出てきてしまう。
「これから食事に行く。こいつのあわれな格好をなんとかしてくれ。こんなんだが18だ。年相応ならあまりかしこまった物でなくていい。あとは任せる。」
「かしこまりました。リヴァイ様はこちらのソファでお待ち下さいませ。只今お飲み物をお持ちします。お客様はこちらへどうぞ。」
店員はクレアを婦人服の売り場まで連れて行った。
リヴァイは出された紅茶を飲みながら小さくため息をつく。いくら命を賭して戦う調査兵といっても、休日で訓練が休みになれば若い女兵士は割とお洒落をして出かけている。それは恋人の有無に関わらずだ。
クレアだって年頃といえば年頃だ。
女なら多少は着飾ることに興味を持つものではないのか?まさかとは思うが、クレアは本当にあのクソメガネと訓練しか興味がないのだろうか?
それにあの着古した服はどう見たって訓練兵団時代に支給された物だろう。いったい休日は何をしているのだ。
やはりクレアは他の女とどこかズレている。
頭の中はハンジの事ばかりで、誕生日には巨人の模型を作ってしまう程だ。その上年頃にも関わらず、自身の身なりには全く無頓着ときてる。
あのクソメガネのズレ方は生理的に、いや、衛生的に論外だ。
しかし、どこかズレた女であることには変わりないのに、クレアが相手だと、そこもまた愛しく感じてしまうから恋とは不思議なものだ。
そんなクレアの世話を焼くのはまったくもって悪くなかった。