第17章 奇行種、副官代理
「今日はいい天気だからねー!」
ハンジは笑顔でブンブンと手を振った。
──バタンッ!──
何の罪もない扉が、リヴァイの怒りによって力任せに大きな音を立てて閉まった。
当然ハンジの言葉に返事があるはずもない。
「ったく容赦ないなぁ、リヴァイは、アハハハ、いってぇ!」
「分隊長、あんな爆弾発言、兵長じゃなくても怒りますって!それに今日は、そこまで晴れてないですよ……」
「違うよモブリット、私は晴れだなんて言っていない、「いい天気」だと言ったんだ。」
まだ痛む頭をさすりながらニヤニヤと窓の外を見つめていた。
「???」
モブリットはハンジの言ってる事がいまいちよく分からなかった。
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ハンジの笑えない冗談にイライラしていたリヴァイであったが、今夜クレアの仕事を休ませる許可は無事に取れたのだ。明日の予定もないとクレアは言っていたし、帰りは少し遅くなっても大丈夫だろう。
リヴァイは何処に連れて行こうかと考えながら執務室まで戻った。
──カチャ──
「あ、兵長!こちらは大分片付きました。ご確認をお願いします。」
「あぁ、わかった。すぐにやる。」
リヴァイはクレアの隣に座ると、分けられた書類に目を通しながらサインをしていった。
壁外調査が終わって3週間と少しが過ぎた。
忙しさのピークは徐々に落ち着いてきている。
今日は少し早めに終わらせても問題無いだろう。
「おい、クレア…」
「は、はい!」
「今日は少し早めに仕事を終わらせる。外に飯でも食いに行くぞ。」
「……え?」
リヴァイの言っている事がすぐに理解できず、思わず聞き返してしまった。
「来週から訓練復帰だろ?怪我の全快祝いをしてやるって言ってるんだ。それに仕事も大分助かった。その礼もだ。」
まさかのまさかだが、リヴァイが自分を食事に誘ってくれるなど微塵も思ってなかったクレアは、戸惑いと歓喜の思いが入りみだり、思考は爆発寸前だった。
「おい!聞いてるのか?まさか行きたくねぇとか言わねぇだろうな?」
なかなか返事をしてこないクレアに焦れたリヴァイは詰め寄るように顔を覗きこんだ。
「い、いえ!!そんなことはございません!!全快祝いなど恐縮の極みでございます!」
「なら、文句はねぇな。」