第17章 奇行種、副官代理
──コンコン──
「おい、クソメガネはいるか?」
ノックの返事を待たずに扉を開けて入ってきたリヴァイにハンジは少し驚いた。
「なんだよリヴァイー、随分なご挨拶だね。どうしたの?その手の書類はクレアが持ってくる頃だと思ったけど?」
「別に俺が持ってきても問題はねぇだろ。ほら、サインしたらとっととエルヴィンのところへ持っていけ。」
ぶっきらぼうにハンジの机に放り投げる。
「それと…」
「ん?それと?」
「今夜、クレアをかりるぞ。怪我も治ったようだし文句はねぇな…」
気恥ずかしさからなのか、目を合わせないようにしているリヴァイに、ハンジはやっと動き出したかとホッと胸をなでおろした。
「いいよ。さっき先生がきて、来週から訓練できるって言ってたからもうクレアの身体も大丈夫でしょ。」
色んな意味でね…!
ハンジは思わず口元がニヤついてしまう。
「なんだよ気持ち悪ぃな。」
「いいや、なんでもないよ。それにしても今日はいい天気だなぁ!」
わざとらしく窓をあけて外を眺めているが、外は若干曇っていた。
「あぁ?頭でもおかしくなったか?今日はそこまで晴天には見えねぇが?」
「そうじゃないって、いい天気さ!」
するとハンジはニヤニヤとこちらに向かってきてリヴァイの前に立つと、突然しゃがみ込み、悪びれる様子もなくとんでもない事を言い出した。
「ここは大丈夫?しばらく使ってないんじゃない?ちゃんと機能する?」
しゃがみながらリヴァイの股間あたりを指差すと、リヴァイの顔を見上げニカッと笑って見せた。
「「!!!」」
まさかの爆弾発言に、リヴァイの額には青筋が立ち、モブリットの顔は一気に青ざめる。
「ぶ、分隊長!!」
「リヴァイなら友人として特別に私の特製精力剤を………ダァァァァァァァ!!!いってぇーーー!!」
モブリットの制止も虚しくリヴァイの逆鱗に触れたハンジは、リヴァイの手のひらで頭を掴まれ物凄い握力をかけられていた。
しゃがんだまま断末魔の叫びを上げている。
「余計な世話だクソメガネ!!」
メリメリとリヴァイの指がハンジの頭にめり込んでいる。
「いってぇぇぇぇ!!」
「おいモブリット!くだらない事言わねぇようにコイツの舌を削いどけ!!」
吐き捨てるように言い放つと、リヴァイはハンジの執務室から出ていった。