第17章 奇行種、副官代理
そして1週間後。
リヴァイは今日も朝から執務に追われていた。
いつもならとっくにクレアが来ている頃だが、今日は医務室に寄ってから来ると言っていた。
最近はあまり痛がる素振りも見せなくなってきた為、おそらくは訓練再開の日取りを医師と相談しているのだろう。
ことに明日は休日だ。
怪我の具合も良くなってきた今なら外へ食事に誘うくらい問題無いだろう。
今までなんだかんだで邪魔が入ることが多かった。
戻ってきたらさっそく話をしよう。
リヴァイはクレアが執務室に来るのを少しばかし緊張しながら待った。
──コンコン──
「クレア・トートです。」
「入れ」
──カチャ──
「兵長、遅くなりすみません!!すぐに支度します!」
「おい待て、医師とはなんの話をしてたんだ?」
「あ、すみません……詳しく身体の動きを診てもらい、無事に訓練再開のめどが立ちました!」
その言葉に、リヴァイの眉がピクリと動いた。
「良かったな…それはいつだ?」
「明後日の休み明けからです。まぁ…最初は慣らし訓練からときつく念を押されましたが……」
明後日……また急じゃねぇか。
「そうか、無理してまた怪我人になるんじゃねぇぞ。」
「はい…気をつけます!」
そう言うと、クレアは紅茶の準備を始めた。
お湯を沸かしながら考える事はただ1つ。
チャンスは今日か明日しかない。
仕事はピークは過ぎたものの、まだそこそこ忙しい。…自分から話す時間を作ってもらうのは、難しいだろうか…
少し頭を悩ませながらリヴァイの机に紅茶を持っていくと、ふとハンジあての書類の束が目に入った。
「兵長、これハンジさんの執務室に持っていく書類ですよね?私が持って……」
「いや、これは俺が持っていく。ところでクレア、今夜と明日の予定はどうなっている?」
「え?今夜と明日ですか?…特に何もありません…夜はいつも通りハンジさんの執務室に行く予定でしたし、明日の休日も兵長の仕事が忙しければお手伝いする予定でした…」
「そうか、分かった。俺が戻るまでこっちを頼んだぞ。」
そう言い残すと、リヴァイは書類を手に執務室を出ていってしまった。
リヴァイはハンジに用事でもあったのだろうか?
少し疑問に思いながらもクレアは、任された仕事を次々とこなしていった。