第17章 奇行種、副官代理
「…モブリットさん?」
「クレア、よく考えてみろ。確かに兵長は口は悪いが、班員の部下をとても大切にしてるし、人の気持ちを無下にする様な人には思えない。それはクレアがよく分かってるんじゃないのか?」
「……………………。」
モブリットの言ってることはもっともだ。
入団してから今までリヴァイとは色々とあったが、必ずその一つ一つの行動には優しさを感じていた。
……こんな私が兵長を好きでも、兵長は許してくれるのだろうか…そして、この想いが叶わぬものであっても、ちゃんと私が傷つかないような言葉を返してくれるのだろうか……
今は、兵長の優しさを信じたい…
「はい…兵長の優しいところは私、たくさん知ってます。ハンジさんの誕生日の時には、黙って私の作った巨人を食べてくれましたし……」
「ハハハ、そんな事もあったね。だから大丈夫だよ。チャンスができたらクレアの気持ちを素直に伝えてごらん。きっと伝わるよ。」
そう言うと、モブリットはクレアの頭をポンポンと撫でてやった。
「モブリット!良い事言うじゃん!!カッコイイぞ!」
ハンジが「よくぞ言ってくれた」とばかりにバシバシとモブリットの肩を叩いた。
「ごめんクレア!私の方からいいアドバイスができなかったね…でも私もモブリットと同意見だ。そろそろ多忙のピークも過ぎる頃だし、まだチャンスはあると思うよ!だから元気だして!」
リヴァイが自分にしてくれたことを一つ一つ改めて思い出すと、少しずつ不安が解消されていくようにクレアは感じた。
フレイアの言う通り、もう少し仕事が落ち着くのを待とう。
そして、モブリットとハンジの言う通り、もしチャンスができたその時には素直な自分の気持ちを伝えよう。
「は、はい!!なんだか相談したらスッキリしました。」
心のモヤモヤが消えたら、自然と身体が軽くなった様にも感じた。今夜も夜中まで頑張れそうだ。
元気を取り戻したクレアは張り切って精製作業に取り組んだ。