第17章 奇行種、副官代理
夕食もフレイアと一緒に食べてから、ハンジの執務室へ向かったが、クレアの頭の中はリヴァイの事でいっぱいだった。
「クレアー?!どうしたの?ボーッとして、リヴァイとは何か進展した?」
ハッと気づくと、そこには自分の目の前で手のひらをヒラヒラさせてるハンジがいた。
自分の手元を見ると、乾燥させた材料を乳鉢に入れたところで手が止まっている。仕事中であるというのに…やってしまった……
「ねぇねぇ!!どうなのよ〜?」
ハンジはハニヤニヤしながらグイグイと肩を押してきた。
「あ、あの……せっかく兵長の側にいられる仕事をしているのに、仕事量が膨大で…仕事の話以外できていません…」
「えぇ?!そうなの?」
仕事中に個人的な話は…と思ったが、ここはハンジとモブリットしかいない。
少しなら2人に甘えてみてもいいだろうか。クレアは乳鉢で乾燥させた植物をすり潰しながら2人に問いかけた。
─ゴリゴリゴリ─
「…手を止めてしまっていてすみません…あの、お2人にちょっと伺っても宜しいでしょうか?」
「えー?なになに?!リヴァイのことでしょ?」
ハンジは面白がるように興味津々だ。
「あの……好きって気持ちはその想いのまま言えば伝わるものなのでしょうか?」
「はぁ?!」
「私が兵長に好きだと気持ちを伝えたところで「おい奇行種、寝言は寝て言え」とか、「熱があるなら医務室行ってこい」とか言われそうで……フラレるにしても、気持ちすら届かず終わってしまったらと思うと…さすがに寂しいです……」
ハンジとモブリットはお互い目を会わすと、思わず呆れ顔になる。
壁外調査後で仕事が忙しいのは分かるが、リヴァイはいったいこの2週間何をやってたんだ、このトンチキ!!デートにすら誘ってないとはどういう事だ!
そしてクレアもクレアだ。
普通後ろからギューっとされたりしたら、少しは自分に気があるんじゃないかって考えないか?
それなのになんでフラレる前提なんだよ!
そして、今のリヴァイのモノマネ、あんまり似てなかったぞ!
なんでこの2人は両想いのはずなのにこうもうまくくっつかないのだ。
突っ込み所だらけのクレアに呆れたハンジは、珍しくかけてやる言葉が見つからなかった。
「なぁ、クレア?」
そこで助け船を出したのはモブリットだ。