第17章 奇行種、副官代理
被害が大きかった分やることは膨大で、副官としてクレアが側にいてくれてはいるが、何か2人でゆっくり話をする時間などはほとんどなかった。
昼食は別々に食堂へ行ったり、一緒に仕事を切り上げてもハンジ達と一緒になったりと、なかなかゆっくりと2人きりになれることがない。
しかし、臨時とはいえクレアが仕事の手伝いに入ると、他の幹部のサインが必要だったり、逆に資料を回収しなくてはならない時は全てクレアが運び係兼回収係として動いてくれる為、リヴァイの仕事は断然はかどった。
このまま兵士ではなく、自分の秘書のような立場で側にいて欲しいと思ってしまうが、クレアはゆくゆくは精鋭にもなれる程の技量の持ち主だ。
訓練も好きだと言っているし、執務室で大人しくしてられる様な女でもない。
やはり、クレアの怪我が治るまでになんとかしなければもうチャンスはやってこないだろう……
だが、外に食事に誘おうにもクレアは立ち上がった時など、まだ痛そうに顔を歪ませる事がある。
そんな状態では無理に誘うのも気が引けてしまう。
リヴァイはまたも前途多難だった。
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ある日の夕刻
「今日はここまででいい。また明日宜しく頼む。」
リヴァイの仕事はまだまだあるが、クレアには夜は夜中までハンジとの仕事があるので、夕刻には上がらせる様にしていた。
「ありがとうございます!また明日も、宜しくお願いします。」
身の回りを片付け執務室を出ると、クレアは軽くため息をついた。
「せっかく兵長の側にいられるのに、忙しすぎて仕事以外の話が全然できないよぉ……」
臨時副官を命じられてから早くも2週間が過ぎてしまった。負傷した肋骨も、時折痛むが順調に回復しているのを感じる。
そろそろ医師から訓練開始の許可も出るだろう。
早く訓練には戻りたいが、リヴァイの側にもいたい。
クレアは複雑な気持ちでいっぱいだった。
──カチャ──
「あ、クレアお帰りー!」
自室に戻ると訓練を終えたフレイアが笑顔で迎えてくれた。
「ただいま〜……フレイアもお疲れ様〜」
クレアはフラフラとベッドに入ると布団を被って丸まってしまう。
「え!?クレアどうしたの?」