第4章 懇願
「はっ、俺は今日1日あけたおかげでやることが山のように溜まっている。報告はお前1人でじゅうぶんだろ。」
そういうと、リヴァイは自身の執務室まで行ってしまった。
しかたなくハンジは1人でエルヴィンの団長室にむかった。
──コンコンッ──
「エルヴィン、今いいかい?」
「ハンジか。入ってくれ。」
────ガチャ────
「寒い中ご苦労だったな。リヴァイは?」
「リヴァイは、執務が山程だとか言って先に執務室戻っていっちゃったよ。」
「ハハハ、そうか。わかった。…で、クレアはどんな訓練兵だった?実力は申し分なかったか?」
ハンジはエルヴィンの机に一歩近づくと両手をつき、顔をグイッとエルヴィンに向けた。
「エルヴィン、細かい話はいらないよ。クレア・トートは調査兵団に必要な逸材だ。リヴァイからも簡単に死ぬようなやつではない、保証すると言われた……」
「そうか…了解した。キース教官にはその旨手紙を書いておく。ハンジ、入団後はクレアを任せて大丈夫だな?」
「…え?!ってことはエルヴィン…」
「お前たち2人の判断は信用している。102期生クレア・トートを調査兵団ハンジ班での入団を特例で認めよう。」
「い、い、い、いやったぁぁぁぁぁ!!!」
ハンジは両腕を上げて歓喜の声を上げた。
「前例のない特例だからくれぐれも幹部以外には内密だぞ。忘れるなよ。」
「わかってるって!はぁ、それにしても今日は楽しかったなぁー。あのリヴァイも、結構楽しんでたんだよね。」
「リヴァイがか?昨夜はそんな風に見えなかったが?」
「本人は悪態ついて否定してたけど、私なんとなくわかっちゃうんだよねー!あぁ、横取りだけはしてくれるなよーー。」
そう言うと、ハンジはおやすみーと手を振りながら団長室を後にした。
付き合いの長いハンジの事だ。おそらくリヴァイは特例を認めざるを得ないクレアの奇行っぷりに少なからず惹かれるものがあったのだろう。
あまり他人に興味をしめさないリヴァイが珍しいなと思うと同時に、そんなクレアに自分も早く会ってみたいと思うエルヴィンだった。