第17章 奇行種、副官代理
「ねぇ、エルヴィン!あの2人、さすがにこれでくっつくでしょ?!」
どっかりとソファでくつろぎながらまだ茶菓子を食べているハンジが悪い笑みでエルヴィンに言った。
「怪我が治るまでの期間頼んだんだ。いい加減進展するだろう……」
クレアへの気持ちにはキチンと踏ん切りをつけたが、進展してくれなければ困ることには変わりない……
エルヴィンはソファから立ち上がると、机に戻り仕事を再開させた。
「私はクレアの上官だからね、もちろんクレアの幸せのためにリヴァイと結ばれる様に祈ってるけどさ……」
ハンジは並べてあった茶菓子を全部たいらげると、ぴょんっと立ち上がる。
「エルヴィンのためにもそう祈ってるからね!」
そう言ってウインクを飛ばすと、ハンジはエルヴィンの執務室を出ていった。
ふとテーブルを見ると、茶菓子を食い散らかしたまま出ていってくれた様だ……
「はぁ……ハンジには全てお見通しだったか……」
そんなに態度に出していたつもりはなかったのだが…とため息をつくと、一旦仕事の手を止め、エルヴィンは食い散らかされたテーブルを片付けた。
──リヴァイ、ちゃんとクレアを頼んだぞ──
エルヴィンは心の中で呟いた…
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──コンコン──
「クレア・トートです。」
「……入れ。」
──カチャ──
「失礼します。」
リヴァイは兵服を着たクレアの入室に少し驚いたが、クレアはしっかりと歩いて自身の前までやってきた。
「おい、熱は下がったのか?動いて大丈夫なのか?」
リヴァイの口から発せられた言葉は自分を心配するものばかりで、クレアの顔からは自然と笑みがこぼれてしまった。
「ご心配おかけしました。まだ痛みますが、熱も下がり、日常生活の許可がおりました。」
「そうか……それは良かったな…」
「なので、怪我が完治するまで、兵長の執務室で臨時の副官代理をする様団長から命じられてきました。」
なんだと…?
リヴァイは一瞬耳を疑ったが、怪我が完治するまでの間だと、約3週間前後だ。
そんなにも長い期間コイツは俺の側で仕事を手伝ってくれるのか?