第15章 リヴァイの奇行種攻略作戦
しかし、リヴァイの思う通りに事は運ばなかった。
翌日は大量の仕事に加えエルドの来室があり、断念。
その翌日は緊急幹部会議が入り断念。
その翌日はまさかのハンジがクレアを借りたいと拉致。
あれこれイレギュラーが重なり、気づけば壁外調査当日の朝になってしまっていた。
結局事務仕事に加えて急用などが立て続けに入った為、リヴァイとクレアは毎朝顔を合わせてはいたものの、まともに話す時間などないまま日々が過ぎてしまっていた。
しかし、大量の書類仕事も壁外調査前日の夜までにはあらかた片付くため、当日の朝の仕事は割と少なめだ。
毎朝顔を合わせてはいたが、やはりクレアの表情は固かった。
リヴァイに淹れる紅茶も決して不味くはないのだが、わずかにいつもと違う味であった。
きっとそれは、あの不機嫌な態度を見せた日を堺に、クレアの心持ちに変化がでたという証拠であろう。
珍しく足取り重く自身の執務室に入ると、いつも通りクレアは掃除を終え、紅茶の準備をしているところであった。
「お、おはようございます兵長。」
…やはり表情が固い
リヴァイは机に紅茶を出されたが、口を付けずに素早く仕事を終わらすと、クレアの隣にドカッと座り、愛しいその名を呼んだ。
「おいクレア、こっちを向け。」
クレアの肩がピクリと動く。
クレアもクレアで、ずっとリヴァイと話がしたかった。だがなぜか、話そうと思ったところで必ずリヴァイや自身に急用が入り、うまく切り出すことができぬまま、今朝をむかえてしまったのだ。
自分が話を切り出すタイミングを探っていたところで話しかけられてしまい、一瞬戸惑ったが、もう今しかないだろう。
謝罪は先手必勝といわんばかりにクレアはリヴァイの方を向いた。
…まともに目を合わせたのは何日ぶりだろうか。少し戸惑った表情のリヴァイにクレアは少し口籠ってしまう。
「あ、あの兵長…」
リヴァイもリヴァイで、久しぶりに目を合わすクレアの蒼い瞳は、一段と吸い込まれそうなほど澄んでいて、言葉を詰まらせてしまった。
しかし、チャンスはもう今しかない。
「おい…」
リヴァイが口を開いたその時だった。
──バタンッ!!──
「リヴァイ兵長!」
ノックもせず盛大に扉があいた。