第15章 リヴァイの奇行種攻略作戦
──翌朝──
クレアは気まずくなってしまったリヴァイとの仲を、どう元に戻そうか考えがまとまらぬまま朝を迎えてしまった。
一方的に自分が焦っていらぬ妄想をしてしまったのだ。
潔く謝るのが吉であろう。
しかし、頭ではわかっているのだが、子供じみた態度をとってしまった自分が恥ずかしく、なかなか素直に言える自信がなかった。
──カチャ──
掃除を終え、お湯を沸かしていると少し遅めにリヴァイが執務室に入ってきた。
壁外調査前にしては少し遅めなのではと、リヴァイの方に目をやると、大量の書類を抱え、肩には馬の頭絡(とうらく)をしょっていた。
「お、おはようございます兵長…その頭絡は…?」
「あぁ、ダスゲニーのだ。昨日不具合があったのをすっかり忘れていた。悪いが書類整理を任せていいか?」
「は、はい…」
ダスゲニーとはリヴァイの愛馬の名前だ。
リヴァイはクレアの返事を聞くと、棚から工具の箱を取り出し、慣れた手つきで頭絡の修理を始めた。
クレアはリヴァイに紅茶を出すと、すぐにソファにかけ仕事を始める。
2人しかいない執務室なのに急にバタバタとした慌ただしい空気に変わってしまった。幹部が多忙になる壁外調査前のため仕方がない。
今日のところは自分の個人的な話は控えたほうがよさそうだと、一旦諦め目の前の仕事に集中することにした。
リヴァイは頭絡の修理をしながらクレアが淹れた紅茶を飲んでみた。
すると、昨日ほどではないが、やはりリヴァイの好む奥深い香りの味とはややかけ離れている。
いったい昨日は何があったのか聞きたい気持ちもあったが、今日中に仕上げなくてはならない仕事もあり、今はクレアと話をする余裕がない。
モヤモヤとした気持ちに少し苛立ちながら大急ぎで修理を済ませた。
時間は嵐のように過ぎてしまい、気づけば朝食に行かなければ訓練に間に合わない時刻になってしまった。
リヴァイはクレアと話すことを諦めると、仕事を切り上げさせ、慌ただしく食堂に向かわせた。
なんとか明日は話す時間を作ろう。リヴァイはクレアとの関係がギクシャクしたまま壁外調査をむかえたくはなかった。