第15章 リヴァイの奇行種攻略作戦
ハンジの言うとおり、手をこまねいているのかなかなかアクションを起こせないリヴァイ。
それに恋愛に関してはまったくの鈍感なクレア。
今回のことで何か進展があればと願うばかりだが、あまりに時間がかかりすぎてしまうと、自分がクレアのことを欲しくなってしまいそうでいささか心配だ。
現に、リヴァイの気持ちが分かるように、などともっともらしいことを言ってギリギリのところまでクレアに触れてしまったのだ。
そのやり口はペテン師さながらだ。
あの艷やかな長い髪にほのかに香るキンモクセイの香り、不安げに見つめる大きな蒼い瞳は、エルヴィンの理性をぶち壊すには十分すぎる刺激であった。
リヴァイはいったい何を迷っているのだ…
グズグズしていたら他の男兵士どころか自分が手をだしてしまいそうになる。
焦れったく見守れるのにも限度がありそうだ。
クレアに気づかれなかったからよかったものの、エルヴィンの下半身はまだ早朝だというのに、ズボンの外からでもわかるほどに膨張してしまっている。
少し悪戯が過ぎてしまっただろうかと、机で仕事を再開させながら徐々に鎮まるのを待っていると、タイミングがいいのか悪いのか、ミケがやってきた。
「エルヴィン、今日提出予定の書類だ。」
「あぁ、助かったよ…」
エルヴィンは自身の下半身をミケに晒さぬように、椅子にかけたまま書類を受け取った。
「……なんだよ?朝から物欲しそうなツラしてるな?溜まってんのか?」
「……ハァ…まったくだ。誰かさんのおかげでな…仕事がはかどらない程にだ。」
「なんだよ、珍しいな。今夜行くならあけとくぞ?」
「付き合ってくれるのか?壁外調査前の多忙期に悪いなミケ。」
ミケはエルヴィンと夜の予定を取りつけると、執務室から出ていった。
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エルヴィンに相談したことで、ある程度気持ちの整理がついたクレアは夕刻まで集中力を保ったまま訓練に励むことができたが、心配事がまったくなくなったわけではない。
リヴァイに今朝の事を謝らなければならないし、今後の事も考えなくてはならない。
いくらリヴァイがキス程度で流される性格ではないと分かっていても、もうモタモタはしていられない。
まだまだ頼りないが、ついにクレアも重い腰を上げようとしていた。