第15章 リヴァイの奇行種攻略作戦
「あ、あの…団長?」
「クレアは本当に可愛い…時々リヴァイには譲りたくなくなってしまう時がある…」
団長は何を言っているのだ…
まったく意味が分からない。でも押しのけたくても団長の力にはかなうはずもなかった。
でも、団長の目は真剣だ。
冗談を言っている様には見えない……
「クレア…君とキンモクセイの香りを、一度でいい。感じさせてくれ。」
そう言うと、エルヴィンはクレアの両脇に腕を入れ、少し抱き起こすと、ゆっくりと顔を近づけてきた。
……この状況はキスをされるのだろうか?
クレアの心臓はまさかの出来事に動揺して、爆発寸前だ。
まだリヴァイに想いも伝えていないのに…
団長の事は嫌いではないが、初めてのキスは好きな人としたかった…
このままキスをされてしまうのか?
い、嫌だ……
やっぱりできない…
兵長……
兵長……!
リヴァイ兵長…!
不機嫌な態度をとってごめんなさい……
クレアはギュッと目を瞑ってしまった。
──ムギュ──
「………?!」
唇に感じた感触は想像していたものとは程遠い物だった。
思わず目を開くと、いたずらっぽく笑う団長がクレアの口に焼き菓子を詰め込んでいた。
「ムグッ……だ、団長?」
「ハハハ、ゴメンよクレア。びっくりしたかい?」
「びっくりしたも何も……いったい何が起こっていたんですか?」
「今、私は無理矢理クレアにキスをしようとしたが、クレアはどう思ったかな?私の事を好きになりそうだったかい?」
「え?」
どうって……リヴァイの名前を呼び続けていたなんて、恥ずかしくて言えるわけもなく、顔を真っ赤にして俯くことしかできなかった。
「クレアは分かりやすいね。おそらくリヴァイだって同じさ。アイツは自分が欲しいと思った女性にしか心は許さない。だから今朝の出来事は何も心配はいらないはずだよ。クレアが気に病むことは何もないはずだ。」
「団長!もしかして今のって…」
「実体験した方が、リヴァイの気持ちもよく理解できると思ってね、ちょっと強引なやり方をとらせてもらったよ。」
ちょっと意地悪に笑うエルヴィンはもとの爽やかな表情に戻っていた。