第15章 リヴァイの奇行種攻略作戦
「ご、ごめんなさい!なんか言ってることも聞いてることもメチャクチャですよね……本当にすみません!」
こんなクレアの話にも爽やかな表情をくずさず、真面目に聞いてくれている。やはり団長は頼れる大人の男の人だ。
「つまり、クレアは、いくらけむたがっていても、いずれはリヴァイも迫ってくる女性になびいてしまうのではないかと不安なんだね?」
「はい……今の私にとって、朝の兵長との時間はとても大切な時間で…誰かにとられたくはありません…」
「そうか……」
これではリヴァイが好きだと言っている様なものであるが、エルヴィンはそこにはあえて触れずに話を聞いてくれている。話しにくくならぬ様に気を遣ってくれているのだろうか……
「ということは、リヴァイがどんな気持ちかわかれば、クレアは安心なんだね。」
エルヴィンはクレアの気持ちには薄々気づいていたため、あえてそこには触れずに話を進めた。
「……自分でもよくわからないのですが…多分そうなんだと思います…」
エルヴィンは無言で頷くと、急に真剣な表情にかわって立ち上がり、クレアの隣に座った。
驚いて見上げるクレアの顔に手を添えると慣れた手つきでスルリと長い髪を結んでいる紅い革紐を解いてしまった。
「だ、団長…?!」
パラパラと長い髪が散らばると、エルヴィンはその中の一束を手に取り自身の口元までもっていく。
「クレア、これは何という香りなんだ?」
「え…あ、あの…」
いきなりの展開に頭がついていかず、口籠ってしまう。
「いい香りだな…私には、教えてくれないのかい?」
クレアの髪の香りを慈しむように堪能すると、真剣な眼差しでクレアの目を見つめた。
いったい団長はどうしてしまったのだ。
わけがわからずクレアの声は思わず震えてしまう。
「キ、キンモ、クセイという花の香り、です……」
「キンモクセイか…きっとリヴァイも気に入っているんだろうな。」
そう言うと、エルヴィンはクレアの肩をゆっくり掴み、ソファに押し倒す。
決して乱暴にではなかったが、クレアはエルヴィンを下から見上げる体勢になってしまった。
おまけに、エルヴィンの膝がクレアの両太腿の間に入り込み、何とも言えない感覚に力が入らなくなってしまう。