第15章 リヴァイの奇行種攻略作戦
「しかし、クレアは討伐も申し分ない程の優秀な兵士だ。高い医療技術も持っているため、壁外での負傷兵は任せたいと思っている。高濃度の麻酔については医師と相談して手配をしておこう。」
「あ、出過ぎたことを…無理を言いまして申し訳ありませんでした…」
「いや、いいんだ。壁外では遺体を持ち帰ることもできない事がほとんどだ。だから重症兵士には安らかに眠ってもらいたいのは私も同意見だ。貴重な薬品は、君みたいな優秀な兵士に持っていてもらえるのが1番頼りになるからね。」
「し、承知致しました……」
大変な役目を任されてしまった。
同時に間近に迫った壁外調査に対して、ピリリとクレアの全身が緊張した。
「医療品リストの話はこれで大丈夫そうだな。ところでクレア、今朝はリヴァイと何かあったのかな?」
エルヴィンはトレーに食べきれないほどの焼き菓子を並べると、クレアの前に置いた。
「え?団長!いきなりどうしたんですか?」
「さっき、リヴァイの部屋を訪ねた時のクレアの顔は、不機嫌極まりないオーラがでていたからね。てっきりリヴァイとケンカでもしたのかと思ってな。」
まさかの質問に戸惑うクレアをよそにエルヴィンは、先程の真面目な表情からうってかわって爽やかな表情に戻っている。
「ケンカはしていません…私がただ、勝手に不安になっただけです。兵長にも嫌な思いをさせてしまったかもしれません……」
「何があったんだい?リヴァイとはハンジと同様付き合いは長い。私でよければ話を聞くよ。」
団長にこんな話をするのはだいぶ恥ずかしかったが、やり場のない気持ちを抱えたまま訓練をするのは危険だろう。
クレアは思い切って今朝の出来事をエルヴィンに話してみた。
「前回の壁外調査の前にも似たような事があって…団長からも、兵長の事は色々と伺ってたので、何も気にすることはないと思っていたのですが……今朝のキスシーンを見てしまったら、なんだか一気に不安になってしまって…もし、兵長に好きな人ができたら、私はもうお役御免なのでしょうか…」
段々と俯いてしまってる自分がいる。
「あ、あの、団長。男の人ってキスをされたらその人の事を好きになってしまったりするのでしょうか?」
もう自分でも何が言いたいのか何が聞きたいのかわからなくなっている。